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◆家族風呂

「いい眺めだよ、天鼓君ありがとう」

 飛行船船尾に設置された晴人(いわく)、大天空露天風呂からの眺めを堪能していた。

 晴人、永晴夫妻が入浴しているこれもまたバーカウンターと同じく晴人がリクエストしておいた新・ドーマハルト号の一つの装備だった。

「こんなにのんびりしていていいものなのか」

「まあいいじゃないか、どうせあと一日は敵地にたどり着かないんだから永晴さん、じたばたしても仕方がないし、子供たちの話でもしようじゃないか」

「そうよ、これから親戚になるんだからのんびりくつろいでおきましょう」

「タマモ、いいのか私の娘で結構気が強いぞ」

「俺はまだ承服していないぞ。まずは挨拶だ」

「まあまだすぐに結婚するわけじゃないんだから、あのカグヤも晴明に惚れているようだし」

「なに二股をかけているのかけしからん」

 永清が立ち上がった。

「別にハルちゃんがちょっかいをかけたわけじゃないのよ。向こうからアタックされているんだから、あの子今まで奥手だったから母さんも心配だわ」

「それよりあのカグヤは本当に信用できるのか、何もかも謎だらけでどんな素性かもわからないのよ」

「モモッチ、心配し過ぎ」

「あんたが無警戒なだけよ。油断しちゃダメな気がするの」

 そんな話を始めていると当のカグヤも露天風呂にやってきてしまった。

「お邪魔する、あなたたちと話がしたい」

 均整の取れた美しい肌をさらして晴人たちに打ち明けに来たようであった。

「うちの晴海が晴明君と付き合うんだぞ、邪魔をしてもらっては困るな」

 言っていることが食い違う永晴、娘のものを取られたくないのだろうか。

「それは邪魔をする気は全くない、ただ晴明が欲しいだけだから」

「あら大胆発言ね。愛人志願?」

「タマモ、話をややこしくするな。せっかくだから君のことを教えてほしい、君は何なんだ」

 核心を突く晴人

「私は人であって人でない、あなたたちの言うクローン体だ」

「だれの!?」

 晴人たちは驚愕の表情でカグヤの緑の瞳をじっと見ていた。

「アルテミス様の娘」

 その言葉に

「神様の子供だって、誰が父親なんだ」

 晴人が聞いた。

「聞かされていない。今後も話す気はないようだ」

「それはこの戦いと何か関連があるということかな」

「それはわからない、ただ私にはメメント・モリという別名も与えられている」

 首を振るカグヤに永晴は

「古いラテン語”死を想え”という意味かな」

「いやだわ、あなたの未来がないみたいよ」

「タマモ、俺は違うと思う。ベルゼブブに対する暗示だと思うがな。彼女がそれを告げる存在だということじゃないか」

「楽観的な発想だな。俺はそのままの意味を取るね、女神さまはそれで君にベルゼブブと戦えと言ったのか」

「いや、監視役を命ぜられた。戦うものを助けろと」

「それが晴明だというのか、飛んだとばっちりだよ、根拠は」

「私がただ感じただけだ。彼にはその資質があるということを」

「晴ちゃんてすごいのね。女神さまの使者に認められるなんて、でもどこにいるのかしら当の本人は」

 タマモは空を見つめいていた。

「そうだ永晴さんにカグヤ、君たちが奪い合った蓬萊ほうらいの玉は何のために使うんだ」

 それには百花が答えた。

「アスタロトが言うにはベルゼブブの復活のために鍵だと言って必死に探していたから、やつらの手に渡さないため奪い取ったの」

 カグヤが続けた。

「あれには、ベルゼブブの封印を解く力がある、奴を倒せる力が手に入った時に使うつもりだった」

「こっちが押さえておいた方がいいというわけだな。ほかのアーティファクトも同じような用途なんだな」

「その通り五つをそろえて意味があるそれぞれのコードネームだ」

「晴海ちゃんを助け出した後はそいつらの探索だな。しかしあの子の洗脳を解くにはどうしたらいい」

「あの子の封印を解けばその力で自我を取り戻すと思うんだ」

「聞いている小さい頃、ミシエルに封じられた能力だな。青龍のムチがいるといていたが今あれは晴明が持っているぞ」

「とりあえずは奪い返して晴明君を探そう、それしか今はできないな」

 作戦は晴海奪還ということがお風呂会議では同意を得た。

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