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◆山猫軒

「ギターか・・・ゴランコレクションの中にあるが!モモタマの使ったやつでこれは譲れんなぁ」

「私たちが使ったやつじゃない、勝手にしまい込まないでほしいわ。そう言うことで返しなさいよ」

「なんせ年代物だから動作確認ができておらんし壊れるかもしれないのでレプリカを作ってやろうかの」

「ゴランじいちゃん話が分かるじゃないの、早く頂戴」

「すぐには無理じゃろう。鍛冶屋のドジルは器用だから頼んでやろう」

「タマモは相変わらず強引ね。ゴランを困らせて、でもありがとう、指動くかしら」

「ドジルを呼びに行かせるからご飯でも食べてくるがいい。昨日は・・・そうかそばを食べたか。それじゃワイルドキャット・ハウスに行きなさいサービス券をやろう」

 ゴランはタマモに割引券を手渡した。

「もしかしてこれもゴラン財閥のチェーン店なの」

「ふっほっほっ、クエンティン様がお気に入りの山猫軒のスタッフを雇い入れてユートガルト全土に店を出したのじゃよ。今は数店舗しか残っておらんがな」

「あら山猫軒の料理が楽しめるの、モモいきましょう」

「本当にあんたあの店好きね」

「ふっふっ、でもゴランじいちゃんもケチね、割引券だけなんて」

「そうじゃ、あの伝説のモモタマ復活ストアライブでも開いてもらえればタダにするんじゃけどな」

「強欲爺!いいわよ、観客の前で演奏したいもんねーモモ」

「いいのかな、こんな私が晴れやかな舞台に立っても」

「いいのいいの、前祝にタダで飲み食いしに行こう」


 ワイルドキャット・ハウスにたどり着いた二人はゴランの書状をウエイターに渡した。いくらかの料理とビールを注文したのであった。

 運ばれたジョッキでまずは乾杯をした二人、一気に飲み干していった

「ぷっはー、この味よね異世界のビール美味しいわ。でもモモ、こうやって呑み合えるなんて夢みたいね。私は一千年も石に閉じ込められて目覚めたら知らない人ばっかりでさみしくて途方にくれちゃってたけど実は晴人がハルトで晴明がハルアキだったし、すぐ近くにモモが住んでいただなんて」

「うちの(ハル)とタマモの晴ちゃん、同じ小学校だったけどクラスが一緒にならなかったのであんまり父兄での付き合いもなかったからニアミスはあっただろうけどまさかタマモがいるなんて私も驚きよ」

 料理が運ばれ始めた。タマモは野菜スープに真っ先に手を伸ばした。

 一口含むと目を閉じ涙を一筋流した。

「アーこの味、思い出すわ、ハルトの膝の上で食べた山猫軒の味、村を焼かれ一人ぼっちになった私を連れ出してくれたハルト、十数年ぶりに味わえるなんて」

 悦に入るタマモに

「おそらく気がついていると思うがメダルホルダーがいるな」

「もちろんよ、料理を楽しんだ後でとっちめてやりましょう」

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