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◆導魔法師の弟子たち

 鉱山の街、ナガクからミノトリアルに戻った晴人たちはヘイ・オン・ワイの秘密部屋に戻っていた。

貴具(きぐ)、ちょっとこっちへ来てくれ」

 晴人は別室へ招き入れた。

「何を話したいかわかっているだろ」

「さあとんと」

 目をそらしただ座っている貴具

「どうして話さなかったんだ。異世界はこれが初めてじゃないことを、誰と連絡を取り合っている」

 うつむく貴具

「とうとうばれてしまいましたか。しかたないその通りです。兄と連絡を取っていました」

舎利弗(とどろき)さんから頼まれている。貴具を信用してやれと、わかるかその気持ち」

 貴具の手がぐっと握られていた。

「何を無理しているのか、もっと仲間を頼ったほうが生きやすいと思うがな」

 貴具が突然立ち上がり

「わが貴具家は導魔(どーま)法師の流れをくむ陰陽師で代々あのゲートを守り銀羽教と戦ってきていたんですよ。いまさら人になんて頼れませんよ」

「ちょっと待て何を言っているんだ俺はそんな教えと言うか、陰陽師の貴具という後継を育てた覚えがないぞ。何かのはずみでそうなことになったのかは知らないが本人が言うのだから間違いない」

「八雲さん、本当ですか。あなたは導魔法師でもあるんですか」

 ハルトの転生体験を聞いていたから理解の範囲内の答えだ。

「ああ、ユートガルトの王からゲートを通り抜け平安の都で導魔法師としてベルゼブブと息子の晴明やオオガミと戦ったんだ」

 呆然とする貴具

「俺は何のために・・・」

「そんな過去のしがらみに囚われて生きていく必要なんかないぞ。そんなに導魔法師の弟子と名乗りたければ今から俺が鍛えてやるぞ」

「御堂師匠も導魔陰陽道の家系ですが」

「それも知らない。どこのどいつだかそんなことを吹き込んだだな。二人そろって弟子にしてやるか」

「お願いいたします。幼いころから導魔様の御偉業は寝かせつけられる時に毎夜聞かせられておりました。師匠を呼んできます」

 部屋を出て行く貴具

「しかしまったくどこのどいつだ。歴史を歪めやがって」

「導魔様!!この御堂、ぜひ鍛えていただきたく思います」

 貴具に呼ばれやって来た御堂は晴人の前に頭を下げた。

「天鼓君の連絡で飛行船の準備まで一週間はかかると言っていているのでその間、みっちり鍛えてやろう。チームの底上げが必要だからな」

「拙者は夢を見ているようです。あの導魔様に教えを請えるなどと」

 興奮気味の御堂に

「ところで御堂、こいつが隠れて兄とこの世界に来ていたことをお前も知っていたのか」

「なんですと!!(たける)が生きているとですと!おい!!(すぐる)どういうことだ!!」

 御堂に土下座をする貴具

「許してやれよ、こいつも追い詰められていたんだろう家の格式ってやつに、それより御堂、お前は隠し事はないだろうな」

 と晴人は言うと


うばたまのやみをまとえし

ときをあうとびらとなりし

さるべきにや


封印(シジラート)


 封印の術を御堂に施した。

「導魔様、一体何を」

「気が付いていなかったようだな御堂、お前妖怪に取り憑かれていたぞ」

 御堂の足元には晴人の術によって封じられた妖怪の一部が落ちていた」

「これは!百々目鬼(どどめき)」貴具が叫んだ。

「どうしてこんなものが・・・」

 御堂は困惑していた。

「師匠、いつの間にこいつを百々目鬼の目です。盗聴器のような役割を果たし画像と音声を本体に送信されていたんですよ」

「ほう、こいつはそんな役割を持っているのか、妖怪はお前たちの方が専門分野だったな」

 封印された目を見つめる晴人

「こいつは何か役に立たないのか貴具」

 晴人は百々目鬼の目を投げよこした。

「なにも役にはこのまま消滅させておきましょうか。いや本体の場所を探ることができるかも」

「いつまでも覗かれていたんじゃやりにくい、やってみてくれ」

 貴具は呪詛(じゅそ)返しの印を結んだ。画像が浮かび上がる。

「これは本体が見ている景色です」

 晴人たちはしばらくその映像を眺めていたが

「あっ!タマモに百花」

 百々目鬼は二人を調べているようだ。

「あの二人はどこにいる」

「そう言えば朝から姿が見えませんが」

 晴人は部屋を飛び出すと永晴を捕まえ

「百花とタマモはどこにいる」

 二日酔いの永晴は

「昨夜二人で何か話をしていたが酔っぱらっていてよく覚えていないがギターがどうのこのと言ってたな。朝一で出かけていったと思う」

「ギター!?・・・そうかゴランにギターを調達してもらうつもりだな。ナガクだ。永晴、カグヤとヨシュアとここに待機していてくれ。御堂、貴具、行くぞ実地訓練だ」

「昼ご飯がまだですが」貴具が言うが

「つべこべ言わずに急ぐぞ」

 三人は馬を走らせた。

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