◎白鳥加わる
「よかった、旦那様、私とタエじゃ手におえなくてどうしていいか困っていたんですよ」
旅館に戻ると料理長の元太郎と妻のタエが駆け寄ってきた。旅館の改築に関して問題が起きていたようである。晴人はそちらの仕事に手を割かざる得なくなっていた。
「陽子、悪い、しばらく異世界にはお前と晴明で行っておくれ。しばらくこちらに残らなくちゃならない」
すっかり旅館の社長の顔に戻ってしまっていた。
「もう、ミーちゃんが大変なのに・・・わかったわ。用があったらメダルで呼ぶから私に任せておいて」
「母さん、研究所に戻るよ、急いでよ」
晴明は晴海の危機に気が気でならないようである。
「何かあったのかい。戻ってきたと思ったらまたお出かけとは」
白鳥はまだ旅館に泊まっていた。
「白鳥先生、晴海が大変なんだ!さらわれちゃったんだ」
「なんだって!僕も一緒に連れて行ってくれ」
白鳥も合流してナイトで研究所まで三人は向かって行った。
「そうか、教団はそんなことを・・・何か役に立つかはわからないが僕も異世界へ行くよ」
「ミッチーいいの、危険なところよ」
「晴海が連れ去らわれたんだ。陽子さん、僕も女の子が欲しかったんだ春奈に似たかわいい子が、生まれたときからあの子の面倒を見てきたんだ。わが子も同然だよ」
「そうねミッチーのとこも家と同じで男の子だもんね」
「何かできるような気がするんだ。ぜひ仲間に加えてくれ」
「白鳥先生、悪いけどステータス見せてもらっていいですか。僕もなんだか気になっているんです」
「あゝ晴明君かまわないよ。僕も知りたいよ」
晴明の目の前に白鳥のステータスウィンドウが開かれた。感心するような顔つきになる晴明
「先生、槍術が使えるんですね。スキルも高い」
「そうだよ。代々幼いころから宝蔵院流の修業をするのが家訓なんだよ。免許皆伝の腕前だよ」
「そういえば、ミシェルは槍が得意だったわね。宝蔵院流って天鼓ちゃんと関係あるの」
「いやそれは流派の名前だから関係はないと思う。先生も筋がいいと幼いころから褒めていただいていたよ」
「それと、使える魔法スキルこそないけれど魔法力がすごい量だよ。魔法を覚えればすぐにでも実戦に対応できちゃうよ。すごいな」
「魔法は晴明先生に教えてもらおうかな」
「父さん仕込みの荒っぽい手だけど、術式をダウンロードすればあとは自分で工夫してもらおうかな」
そう言うと晴明は白鳥の頭を両手で包み込み陰陽の技を送信した。白鳥は白目をむいて意識を失ってしまった。
「母さん、どうしよう。転送量が多すぎたかな」
「だいじょうぶよ研究所に着くころには目を覚ましているでしょ」
タマモの言ったことは確かであった。ふらふらしながらも研究所に着くころには白鳥は覚醒していた。
「初めての体験だがすごい能力だな晴明君」
「僕も父さんにこれをやられて一晩寝こんじゃったから、セーブしたつもりだったんだけど。ごめんなさい」
「なるほどゲーム画面みたいだな。なるほどこうやって術を発動させるわけか」
白鳥は自分のウィンドウを確かめていた。
「天鼓君!晴海と久遠さんの行方は分かったかな」
首を振る宝蔵院




