◎朱雀の卵4
「母さん、晴明だけなんてずるいよな。元は俺の体なのに」
ゴールドに変身したい晴人であったが。
「なに、言ってんのよ。あなたが晴明を無理やり平安に送り込んで体を譲ったんでしょ。つべこべ言わずに喜びなさいよ」
「ピコーナ、長い間寂しかったでしょ、これからはまた一緒に旅をできるね」
ピコーナは晴明を抱きしめるのであった。
「なんだか孫を連れて里帰りしたみたいだな。しかもすごいお小遣いももらったし、ピコーナよかったな。でもこのメダル何か問題点はないのか」
うっすら浮いた涙を拭きながら熟女態ピコーナは
「融合には制限時間があると思う、どのくらいかわからないが、父、ピンチの時だけに使った方がいいピコ」
「わかったよピコーナ、注意して使わせてもらうよ」
「カラータイマーみたいなやつがあれば便利なんだろうけどな」
「晴人、何言ってのよ。あんな自分がピンチだなって敵に知らせても意味ないじゃない。晴ちゃん今はどう、まだ変身していられそう」
「特に力を使わなければ一日中この姿でいられそうだよ。実感としてでも、オンキリキリバザラウンバッタ」
変身解除の軍荼利明王の真言でメダルを取り出した。
「ちょっと晴明メダルを貸してみてくれよ」
「いいよ、父さん」
メダルを晴人に投げよこした。それを受け取るとだめもとでおでこに挿入してみた。
すーとメダルが晴人の中に入った。
晴明の時ほどではないが金色に光ったが背後で爆発はなかった。
「キャー!!晴人!!!昔のハルト」
タマモが真っ先に抱き着いた。
「変身できたじゃないか、でも・・・晴明ほどのパワーアップはしてないな。まあ昔並みのステータスには向上されたし魔法力も昔並みだよ」
晴人は自分の体をしみじみと眺めた。
「やっぱり昔のハルトもかっこいいわ。惚れ直しちゃった」
「何を言うんだよタマモ、俺は俺じゃないか中身に惚れとけよ」
「もちろんそうだけど・・・その姿を見たら昔の思いが蘇ってきたのよ」
ハルトの胸を指でツンツンと突いていた。
「ごっほん!いい加減にしてよ。メダル返して父さん、家に帰ろうよ」
晴人は変身解除してメダルを晴明に返した。
「ピコーナ、それじゃまたここにも来るからね。バイバイ」
「ご武運祈っているピコ」
ピコーナの巣を後に境内に戻った。
「着信とメールが天鼓君から来てるよ」
晴人に言うと電話を折り返した。晴明の顔色がみるみる間に代わっていく。
「晴ちゃんどうしたの」
「晴海と久遠さんがさらわれた」




