◆第二ゲート
晴人はヘイ・オン・ワイにやってきてから並んでいる古書に目が釘付けである。
「もう、あなた本は買わないわよ。先にこっちへいらっしゃいよ」
タマモがやってきて晴人を呼びに来た。
「団長とヤーシャを呼んできました」
リリと宝蔵院は再び公園に向かい戻ってきた。
「晴人君、話は天から聞いたよ。俺たちは強制送還らしいな」
「送還だなんて、後方支援をお願いしたいということだよ。取り違えないでくれ」
「こんな楽しそうなところ、興行をして回りたいよ。さっきも弟子になりてなんて言い出す亜人もいてよ。わしだけでも残してここでサーカスをやらせてもらえないだろうかな」
軽足はサーカス団をやめ退屈な日々、異世界生活に心残りがあるようだ。
「軽足さん、私もこの世界で冒険がしてみたが御堂、貴具が離脱してなんともならんのだよ」
「わかったよ舎利弗の旦那、名残惜しいが八雲の父ちゃんが平和な世界を取り戻してくれたら今度はこの世界でサーカス団を作ってやるぜ」
「さてと、カグヤさんこの場所にゲートを開いてもらえるか」
「わかりました。本部長、第二の拠点にするのですね」
ゲート作成にカグヤは壁に魔法陣を描き舞っていた。
各種の印を複雑に指先で操り組み、聞いたこともない言葉で詔と思しき物を発した。壁が揺らぎ始め渦を巻いた異様な状態へとなっていた。
「ほう、そんな方法でゲートを開くのか、覚えさせてもらったよ」
「父さん、ハウルさんの様子がおかしいよ」
ハルトの街の神官、ハウルが苦しみだしていた。
「わかるかカグヤどうなっているか」
「晴人、呪いだ、解呪してみる」
カグヤがまた舞を踊る。彼女は舞うことによって能力を発揮するようだ。
見る間にハウルの容態が回復していく。
「どうだったんだ。彼は」
「お腹を下す呪いのようだ。死ぬことはない」
「なんですって、その呪い!貴具が使ったのじゃない」
「晴海、どういうこと」
「あいつが得意とする呪術なのよ」
晴海、晴明が言い合っていた。
「でも、彼がこの人に接触するチャンスなんてないでしょう。解にはなってませんよ」
「天鼓君、あいつがやったのよ!」
「晴海ちゃん、熱くならないで感情的な思考はすべてを曇らせるよ」
「晴明君のお父さんの言うとおりだよ。論理的に考えましょう」
晴人、宝蔵院になだめられた晴海であった。
「しばらく療養が必要だろう。この男には」
カグヤの見解に晴人は
「いったん元の世界にみんなで戻るか」
「そうですな、体制を研究所で話し合いましょう」
「舎利弗さん、その前にせっかくミノトリアルにいるんだから、ハルト焼き食べてから帰ろうよ」
「晴ちゃん、ハルト焼きって?」
「父さんの名前がついたすき焼のことだよ」
「すき焼?」
「そう、昔この街で父さんたちが作った料理がここの名物になったんだよ」
「ふーん、面白いじゃん、食べて帰って、私は晴人にヤキを入れちゃおうかな。ちょっと痩せたからって言って色目を使うし」
「おい、タマモ誤解だよ」




