◆チーム再編成
「八雲さん、正直感想を聞きたい。我々のチームを見てどう思うのかを」
ギルドに併設された食堂で舎利弗は晴人と二人話し込んでいた。
「あなたと久遠くんたちは元の世界に戻っていた方がいいと思う」
「やはりな何の力もない私たちは足手まといでしかないか」
「いや、そんなことではないんです。後方支援をお願いしたいのです。この世界は我々に任せて向こうの教団関係者を根絶やしにしておいてほしいのです」
「まだそんなに影響力のある教団関係者がいると見ているのですか」
「われわれが掴んでいない異世界ゲートを保有しているはずだ。そして手助けをしていると思う」
「わかった、我々警察チームはこの後、元の世界へ戻ろう」
「天鼓君とヤーシャも君たちに必ず必要になる。一緒に戻るといい」
「この異世界は君たち親子と晴海さんに任せます。よろしく願います」
頭を下げる舎利弗であった。この世界へ来て普通の人間には立ちうちできないことを痛感していたのであった。
「おい晴人、ヘイ・オン・ワイがお前が言った通りまだ活動していたぞ」
最初に戻ってきたオオガミが晴人に報告をした。
「そうか、それは心強いな。そんなふうになると思っていたよ」
「ヘイ・オン・ワイとは何ですか八雲さん」
「昔俺の軍隊を支えていた諜報機関のことだ。世界が変わってもそのまま活動を続けていたとは」
「そうですか、やはりわれらの力はこの世界では不要ということですな」
「そう言うことか、舎利弗さん、短い間だったがよくやってくれたこれからもよろしく頼むよ」
「オオガミさんありがとう」
御堂と貴具が戻ってくると舎利弗は先ほどの話を伝えた。
「絶対に私は戻りませんよ。一人でもこの世界で活動させてもらいます」
と言い残すとギルドから出て行ってしまった。
「同じく拙者も弟子とこの世界に残ります。それでは御免する」
御堂と貴具はチームを去って行ってしまった。
「仕方がない彼らとは所属が異なるので強制はできない」
自衛隊と公安委属になる陰陽師師弟であった。
「お決まりの縦割り社会か、気にすることはない舎利弗、やつら離脱も意味のあることになると思うぜ」
オオガミは彼ら二人のことをあまり気にしていない様子であった。
「御堂と貴具が険しい顔で出て行ったが何かあった様子だな」
「カグヤ君、彼らは単独行動をとるといってチームを離れていったのだよ」
「やはり、カグヤさん、あのことを打ち明けましょうよ」
「ヨシュア君、何かあるのか」
「仕方ないわね。じつは貴具が街中で連絡係とみられる人物と会っていたところ目撃したんです」
「どういうことだ。我々同様初めての異世界だぞ。こちらの人間と会うのは初めてのはずだぞ」
舎利弗は驚きの表情を浮かべた。
「あの二人を調べる必要があるな。舎利弗さん向こうへ戻ったらその調査をしていただけないか」
「晴人、ヘイ・オン・ワイに場所を変えよう」
「タマモとかはまだだぞ」
「みんな向こうにいる」




