◆ザグレット枢機卿
「メリム様、カグヤの一味の動きを掴めるようになりました」
「それくらいできて当たり前だ。百々目鬼とかいうやつか。二代目は役に立ちそうだな。ザグレット引き続き奴らの弱点を探るのだ。そしてあの娘を捕まえるのだ」
「ハルアキ、すごいのよ。スパイ組織よ」
晴海はキャッキャとはしゃいで晴明に書店での出来事を話しながら道を進んだ。
「へえ、かっこいいなぁ、久遠さんはエージェントに任命されたんだって」
「オオガミさんが勝手に受けちゃったんだけど、僕も少しワクワクするかな。子供の頃よく夢を見たんだスパイとして活躍する。それもあって警察官になっちゃったのかな」
謎の男を真ん中にタマモが一番後ろで見張っている。
「ここです」
書店の前に立った。
「あら、いやだ。またこの本屋さん組織・・・」
「母さん、なにかあるの」
「貧乏していた頃、晴人がどんどん本を買っちゃう店なのよ。でもまだ続いていたんだ。Q君ていう有能なエージェントがいたのよ。そうだ、あのカメラを発明した子よ」
「あゝ、あの人の組織か」
「なんだ晴明も知っていたんだ」
「そうなんだ、異次元牢獄にとじ込まられたときにこの世界で助けてくれたのがQさんだったんだ」
「久太郎のコードネームがQに決まったのよ。なんだか不思議な話ね」
久遠は中に入るとエージェントLに事態を説明して奥の部屋へと案内してもらった。
「おじさん、ここに入れば大丈夫だよ。僕は晴明」
「私はハウル、ハルトの街で神官をしていました。お恥ずかしい話、お金がないものであんなことを続けて、アルテミス様に申し訳ないのですがこの街に身を潜めていました」
「どうして逃げてきたの」
「ザグレットという枢機卿が先月赴任してきたのですがその男の秘密を知ってしまったのです」
「ザグレットね。その動きは掴んでいたわ。どうやら異世界からやってきた人物のようなのぶくぶく太ってお姉言葉を使うやつね」
Lが補足の説明をしてくれた。
「すごいね。ヘイ・オン・ワイはそこまで掴んでいるのか。どうやらその風体の人物は南風野天風もしれないな」
「南風野って教団の大幹部じゃない。大変だよ」
「晴明、私たち特務捜査課零係が追ってる最重要人物なの。やっぱり天鼓君の推理は当たっていたみたいね」
「ハウルさん、その秘密とは何なんですか」
「ハウルの街の城の地下にはダンジョンがあることはご存じですか」
「さっきLに聞いたところだけど」
「ダンジョンの入り口は我々神官が侵入を管理していたるのですが、その日の当番が終わり代わりのザグレットが連れてきたネスミとかいう神官に交代したんですが」
「根角、やつもハルトの街に潜入しているのか、それで」
「しばらくするとザグレット枢機卿も入口の方へ向かったので不審に思いあとをつけてみたんです。するとダンジョンから真っ黒な龍族が現れて話を始めると二人は異形の姿へと変身したんです。人族じゃなかったんです」
「アスタロトだ。それを知った君は逃げてきたんだね。晴人さんに報告しなければ」




