◆家族
「本当に仲のいいのいい家族ね。うらやましいわ」
いつの間にか晴海が後ろから覗いていた。
「それはそうよミーちゃん、付き合いの長さが違うわよ。ほかの家族とは、だってハルトには六つのころから育ててもらっていたし、晴ちゃんは生まれる前からかわいがってたんだもん」
「まさかタマモと結婚するとはあのカルヤシャに滅ぼされた村であの小さな女の子を育てようとは不思議なもんだな」
「そうよ晴人は私と出逢うために転生したのよ。今回も何か意味があるのよ、私たち家族のための」
「晴明のお母様の考え方ってポジティブでこっちまで元気になるわ」
「そうよミーちゃん、あなたのパパとママだって同じように考えているのよ。あなたを巻込みたくないだけで絶対に忘れているはずないわ。今もずっとあなたのことを考えているはずよ」
「そうだよ、晴海、必ず僕が逢わせてあげるからね、しばらくの辛抱だよ」
「うん、信じてるわ晴明」
ほほにキスをして装甲車に戻って行った。
「モテる男はつらいな晴明、カグヤはどうするんだ」
「二人ともただの友達だよ、からかわないでよ」
「私はミーちゃんを押すわよ。だってモモの子供でしょ」
「モモもいい子だったな。タマモのねえさんみたいな存在だったからな」
「おいおい、また家族で馬鹿なことを言っているんじゃないだろうな」
今度はオオガミが上がってきた。
「ところでオオガミお前はどうなんだ。探偵業という安息の日々を送っていてまた戦いに巻き込まれて」
「安息の日々だって、退屈な日常の繰り返しだ。死ねない体の呪いに苦しんでいるだけだ。またお前たち親子に関われて何か変化が起きそうな思いでいっぱいだ。それにあの女、カグヤが今度は一緒だ」
「謎が多すぎるなあの子は本当のことをしゃべらないしな」
晴人は装甲車に乗らずにホワイトラビットの肩に乗り後ろについてくるカグヤを見ていた。
「晴明、ナイトに乗り換えるか俺たち家族は」
「そうだね。オオガミさんが揃うとほんとの家族だもんね。そうしよう」
召還したナイトを先行させ、四人はそこへ飛び乗っていった。




