◆おじさんチーム
「ほら!空ばっかり見てないでオワリトリアに向かうぞ」
オオガミの号令で舎利弗たちは動き出した。
「もっと魔獣とかがうじゃうじゃいて怖いところだと持ってたけど、普通の草原だな」
「久遠くん、油断していてはいかんぞ。いつでも銃を抜ける用意をしておきなさい」
「本部長、そんなに気を張り詰めてたら街まで持ちませんよ」
そんな軽口をたたいていた久遠の目の前にスライムが現れた。
「なんだこのぶよぶよしたゼリーの塊は」
落ちていた木切れで突きだすとスライムが久遠を包み込んだ。
「うぐっあぐっ・・・うう」
オオガミの剣が久遠の目の前を横切った。スライムの核を真っ二つにするとバッシャッと久遠の足元に液体と崩れ落ちた。
「舎利弗さん、こいつは大丈夫かスライムにこのざまか」
「オオガミ隊長、ありがとうございます」
スライムの体液でべとついた顔をぬぐいながら感謝をしていたが
「久遠さん、最初はそんなもんですよ。この異世界はまず常識が通用しないことを念頭に置いておいてください。装備として渡したそのスーツは時計のベゼルを右に回すとAIが回避行動を取ってくれますから」
召還したゴーレムの肩に乗っていた宝蔵院は久遠に言った。
「宝蔵院君、そうだったね。からくり兵のテクノロージーが詰まったスーツだったね。あわててしまってそれどころじゃなかったよ」
「みんなも気を付けて作戦行動をとるように、オオガミ隊長、手間をかけたがこれで気を付けるだろう」
一行はオワリトリアにまっすぐ向かわず、ヤーシャが戦闘訓練代わりにわざと魔獣のいる道を選び通りながら、行進をしていた。
「やっと街についたな。まずはギルドで冒険者登録だな」
チームおじさんは舎利弗、御堂、貴具、久遠、軽足で大神がリーダーとして登録を行った。
「最近、人族さんが多いですね。ハルトの街からいらしたんですか」
ギルドの受付、ウィーナは驚いていた。
「まあ、そんなところだ。あっちも稼げなくなったんでな」
オオガミは適当に相槌を打ったが
「そうですかあの噂は本当だったのかしら」
「お嬢さん、なんだね!その噂というやつは」
舎利弗の捜査畑の感が働いた。
「ハルトの街からさらに西へ住民の移動が始まったらしいと言ことなんですが」
「興味深い情報ですね。教団の動きでもあるのでしょうか」
宝蔵院は推理を始めた。




