◎晴人と道真
白鳥の顔から血の気が引いてゆく、青白い顔は晴人の目を見つめていた。
「ミッチーお前との出会いは京都の芸大の入学式、学校の入り口で出会ったときじゃなかったんだ、もっと深い縁があったんだよな。気がついたんだろ」
「ああ晴人思い出したよ。ユートガルト魔法学園だったんだよな」
「お前が喧嘩を売ったのが始まりだ。どっちが先に門をくぐるかでな」
「生意気なやつだと気になったんだ。それでどうしてこうなったかをお前は知っているんだろ」
「じつは俺は先月死んだんだ。車の事故でな、この息子を道連れに」
晴明の頭をつかみ揺り動かしながら言った。
「街道を車で走りこいつの学校にへ向かう途中、落石事故でがけ下へ転がり落ちた。その事故も今となってわかったのはそこの小僧がからくり兵を蘇らせたせいでな」
宝蔵院を顎で指す晴人、もじもじと下を向く宝蔵院と久遠
「死にゆくさなか、啓示があったんだ。世界を救えってな。尊大なお言葉だ。そしてユートガルトの貴族の息子として転生し、そこのオオガミとであった」
オオガミの方を見た。オオガミは
「ハルトと出会い、俺も受けた啓示、彼を助け世界を救えの使命に従った」
「そして俺はオオガミと仲間たちと共にミッチーとの戦いに巻き込まれた」
「シーモフサルトだな、あのときの俺は俺じゃない!蝿の王の意思に支配はされていたんだ。憎しみの感情によって」
「ああ、俺にはわかっていたよ。ハルナだろ、そして助けを求めるお前の姿が心に突き刺さった」
下を向く晴人をタマモが抱きしめた。
「そんなことあの時一言も言わなかったじゃないの、つらかったのね」
涙を浮かべるタマモの頭をなでながら続けた。
「その姿を追って平安時代へと向かった。そのときは晴明の命を救う目的も加味されていたが常にミッチーお前の姿を追っていた」
「そこで父さんは僕を平安時代に召還したわけだよね。何も話してくれないから戸惑ったよ。でもその時点ですべてを打ち明けられてもどうしようもなかったけどね」
「その平安時代の記憶はあまりないんだ、どうしてかな」
白鳥は言った
「蝿の王の意識に完全に支配されていたんだろが、その時代の転生態は崇徳院、お前の魂は存在していたぞ。ミッチー、何度転生したんだ、どこが始まりだ」
「天神様と呼ばれた男だろうな。そいつも啓示を受けていたように思う」
「そうかやはりな、そんな気がしていた。東の神獣、青龍との関わりも謎だがな」
「そう、白鳥先生とミシエルってそっくりだよね」
「そう晴海、僕もそう思ってたんだ」
晴海と並んで座る晴明もそう言った。
「いずれ青龍にその謎をぶつけてみてもいいかもしれないな。そして、俺ではなく息子の晴明が平安時代で世界を救った」
「それを最後まで見てないのが残念ね、おかげで千数年間も石の中に閉じ込まれたのよ」
「そうだ、そして俺と結婚して、晴明を生んでくれたんだ」
「さっぱりわからんな。物語の流れと事由の時間の流れが久遠、分かるか」
「僕なんかに聞かないでください。宝蔵院君解説してください」
「興味深い話ですが、私にも基点の解析には情報が足りなさ過ぎるので即答は無理です」
「それは仕方ないな君が説明できないのなら、それにしても白鳥先生!奇縁なことですな」
「舎利弗さん、私自身戸惑っているところなんです。まさかあなたに協力することも仕組まれていたのかと掲示を与えた存在に恐怖すら感じてます」
「道真おじさん、きっと何とかなるよ。安心して父さんに力を貸してあげてください」
「晴明君・・・」
宴席は静まり返ってしまった。