◎異世界報告2
「天ちゃんも晴海ちゃんもすごい冒険だな。今度はわしも一緒に連れて行ってくれないか」
軽足団長はコーヒーをすすりながら宝蔵院に言った。
「ぜひわれわれも軽足部隊長が興味をお持ちであるというのであれば侃と共にお供するでござる」
御堂は貴具を引っ張り込み軽足に願い出た。
「三人とも冒険者ギルドに登録して冒険を楽しめばいいのよ。私たちのチームと競争しましょうか」
「いいな、その考え零課Bチームでも結成するか御堂君」
「ええ部隊長ぜひ」
貴具はやれやれといった顔をしていた。
「不謹慎な話だがわしもひとつ加わってみたな。久遠、おじさん冒険者チームに入ってみるか」
「本部長、そんなの無理ですよ。特殊な能力を持った人たちと同じにしてもらっては困りますよ」
「久太郎はお留守番してればいいのよ」
いつもの調子を取り戻した晴海、やはり久遠は欠かせない存在だった。
「さあ、一息ついたことだし続きを宝蔵院君頼むよ」
「オワリトリアについた私たちは冒険者ギルドに登録をしました。ギルドに加盟することによってさまざまな情報が得ることができました。水無瀬さんの両親の動向もつかむことができました。ミノトリアルで半年前にクエストを受注したと聞き、冒険者としてクエストをこなせばいつか会えるかもしれないと希望を持ちました」
「五年近くも異世界で生き抜いたということはかなりの腕前なんだろうな水無瀬夫妻は」
「最初のクエストは鷲と馬のキメラ獣のヒポグリフの駆除でした」
「私と晴明は30匹以上も倒したのよ」
「そのクエストの際、ここにいるカグヤさんと出逢ったのでした。カグヤさんは来るべき時、蝿の王であるベルベゼブの抹殺のため勇者を待っていたのでした」
「その勇者が八雲家の晴明君だというのか」
「それはまだわからない、見極めが必要だ」
カグヤは静かにそう言った。
「ヒポグリフの駆除によってわれわれパーティーのランクはDからBへとアップしギルドからワイバーン討伐のクエストを受けることとなり、ミノトリアルへ向かうことになりました」
「晴海様のご両親の情報が得れるのですね」
「まだ気が早いわよ久太郎」
「ワイバーンを半年前に退けた冒険者が水無瀬さんのご両親だったんです。そのワイバーンが鍵となる大切な情報だと我々は認識したのでした」
ワイバーンの映像がモニターに映し出された。
「こんな大きな龍と戦ったのでござるか。侃、どう戦う」
「すぐに退散するのが賢明ですね。無茶だよ」
「ワイバーンの目的は優曇華ですか、蓬萊の玉の枝という竹取物語にも由来する蝿の王封印のアーティファクトでした」
「竹取物語といえば日本最古の物語と呼ばれているがカグヤさんの存在を見ると伝承だったんだな」
「ワイバーンの正体がベルゼブブの部下であったんです」
会議室のみなは息を呑み映像と宝蔵院の話に引き込まれていった。




