◎覚醒
晴海はカグヤの様子を見に戻った。カグヤはテレビのニュースに見いていた。
「晴海、この世界はこんなに世知辛いものなのか」
犯罪や事故のニュースが特に今日は多かったようだ。
「この世界に興味があるならウェブで調べれば」
タブレットをカグヤに渡して操作の仕方を教えると、夢中で操り始めた。
「すごい理解力ね。こんな簡単な説明でそんなに使いこなすなんて」
晴海も舌を巻く適応力だった。
「おーい晴海こっちへ来てくれ!」
ヤーシャが晴海を呼んでいる。オオガミとヨシュアが戦っていた。
「どうしたのなんで喧嘩になったの」
「ちがう、ヨシュアのだらしない心構えにオオガミが噛み付いたんだ。特訓してやるとな」
団十郎は喜んでその特訓に見入って喜んでいた。
ヨシュアは半べそをかきながらオオガミの打ち込みを受けていた。
「許してください、お願いだから」
ヨシュアは懇願するがお構いなしに
「ほーれもっと、どうしたどした。龍族の男の子だろう」
「ぼくはその・・・みんな見たいに強くないいです。怖いんです」
その言葉にオオガミの攻撃がさらに増してきた。
「団長、笑ってみてないで止めてやってあげて」
晴海は団十郎の肩を揺さぶるが
「いや、結構化けるかもよ。あの弱虫龍は」
さすが親子であるヤーシャと同じ方針のようだ。
ヨシュアは血まみれに息も絶え絶えメンタルも肉体的にも追い込まれたいた。
「私も参入しようかヨシュア、物足らないだろう」
ヤーシャの言葉にヨシュアは絶望の顔を浮かべた。あのヤーシャまで加わってしまうなんて
「無理、帰っていいですか」
涙をボロボロ流し始めたが、オオガミはさらに渾身の力で打ち込んだ。
心配する晴海はプツッと音が聞こえた気がした。
ヨシュアの目が虚ろになり口から泡を吹き出して、奇妙な唸り声をあげた。
筋肉が盛り上がり強大化していった。
「いい感じだよ。ヨシュア、さあ来い!」
ヨシュアの背中から翼が生えドラゴン化した。
身の丈は五メートルを超え、雄たけびを上げている。
「よーし、己を取り戻し冷静になるんだぞ」
オオガミはそういって次の一撃の準備をすると、ヤーシャが飛び込みヨシュアの眉間にけりを放った。のけぞるヨシュア
「さあ、覚醒しろ!」ヤーシャの一声が上がる
ヨシュアはその一撃でわれを取り戻し、自らの姿を見た。
「こ、これはドラゴモード!僕にできるなって」
「そうだそれがお前の本来の姿だ」
オオガミは大きな声で言った。
「こんな僕にできるなんて・・・」
「こんな僕じゃないわよ。自信を持ちなさいよヨシュア、できないできないばっかり言ってできるじゃない」
「晴海・・・」
「これでいっぱしの戦士だな。お前は晴明にも劣らない資質を持っているんだぞ」
団十郎は拍手をしていた。