◎舎利弗本部長への報告
「舎利弗のおじさま、ただいま無事に戻ってまいりました。ご心配をおかけしたかもしれませんが」
本部長室へ回線を開き帰還の挨拶をした。モニターには喜ぶ舎利弗が映し出されていた。
「いやあ、無事で何よりだ、元気そうに・・いやなんだか浮かぬ顔しているが心配事でもあるのかい、晴海さん」
さすが捜査畑で一線を張った男である、その観察眼は超一流だった。
「お父さんとお母さんに会えたんですけど一言も話せなかったんです」
カグヤという恋のライバルが現れたことも悩みの種だがそれは黙っていた。
「それは残念だったな。きっと必ずちゃんと再会できるはずだ。それまでの楽しみに取っておきなさい」
舎利弗の言葉はやさしく親身に感じてくれていることが伝わった。
「ありがとうございます。それと新しい仲間を連れて戻ったんですが一度研究所で打ち合わせをしたいと思うのですが」
「もちろんそのつもりだよ。夕方にはそちらへ向かうつもりだ」
「久太郎はどうしているの」
「久遠なら捜査に出ているよ。すぐに呼び戻して一緒に行くから詳しくは後で話そうじゃないか。それとその前にこの一週間の報告書を宝蔵院君にお願いできるかい、目を通しておきたい」
「わかりました。それではまた後ほど」
通信を切ると晴海は宝蔵院を探しに出た。
「あ、そうだ!おじいちゃんにも連絡しなくっちゃ」
電話をかける晴海、晴山は開口一番
「寂しかったぞ晴海、早く帰ってきておくれ」
「ごめんねおじいちゃん、一人っきりにさせて夜には帰るから」
「すぐに帰って来れんのか」
「報告とかあるから待っててね。不便だったでしょ」
「いや、久遠君が毎日来てくれての、いろいろ世話を焼いてもらったからお礼を言っておくのを忘れずにな」
「そうなの久太郎が・・・じゃあまたあとで」
電話を切ったが久遠なりの協力がうれしかった。
「天鼓君!どこにいるの」
研究所を探しまくる晴海
「晴海姉ちゃん、こっちだよ」
リリの呼ぶ声が聞こえた。天鼓は自分の部屋の方にいた。
「リリもここに住むって聞かないからベットを運ぼうとしてたんだ。水無瀬さん悪いけど手伝ってもらえる」
隣の部屋から重いベットを運ぼうと悪戦苦闘していた。
ベットを運び終えると
「舎利弗本部長が至急報告書を提出しなさいと言ってらっしゃるから天鼓君お願いね」
「わかったよすぐにまとめてメールすればいいんだね。リリ、おやつを作ってあげるから食堂で待ってね。お仕事するから」
「はーい、どんなおやつかな」
晴海はカグヤたちの様子を見に行った。




