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◆研究所へ

 オワリトリアで待つ晴人たちは味噌煮込みうどんと親子丼を食べていた。

「あいつらミノトリアルに泊まっているなら美味しい肉を食ってるんだろうな」

「そうよね。あの町のお肉とっても美味しかったわね。ステーキ食べたくなっちゃった」

「よく飯を食いながら次の飯のことが考えられるな。ハルトの痩せた分全部お前に行くんじゃないか」

 昔通りのタマモとオオガミの会話を聞きながら晴人は笑っていた。


「お帰りなさい。昨日はどうされたんですか」

 暖簾を掻き分け入ってきた晴明はすっかりなじみになった店員に挨拶された。

 ただいまという前に、四人掛けのテーブルに目をやると真正面に晴人夫婦が座っていた。

「母さん、それに父さん?!何でここにいるの」

 晴明は驚きの声を上げた。

「晴ちゃーん!!」

 食べかけのどんぶりを置き箸を持ったままタマモが抱きついていく。

「よっ晴明、俺たちもやってきたぜ」

 晴人はそれだけを言ったが

「父さんどうしちゃったの、すごく痩せてるじゃない。すぐにわからなかったよ」

 父の変わり様にも驚いていた。

 スーツ姿のオオガミもツキノワも振り向いた。

「ハルアキ、鍛錬はしているか」

「そ、そんな・・・オオガミさーん」

 今度はタマモを振り切ってオオガミに抱きついていった。

「久しぶりだな。まあお前にとっては数週間ぶりだだろうが、俺も会いたかったぞ」

 オオガミの目にうっすらと涙が光ったのをタマモは見逃さなかった。

「あーれ、オオガミも涙流すんだ。うちの晴ちゃんはかわいいものね」

「バカ言え、俺が泣くわけないだろう」

「結構泣いてる姿僕は見たことあるよ」

 ツキノワがばらしていた。

「ツキノワ君、追いかけてくれたんだ」

「晴海、父さん死んじゃったんだ。最後にわがまま聞いてくれて僕を自由にしてくれてありがとうね」

「ええっ、シロクマさんがそんな・・・」

 晴海は絶句してしまった。

「晴明、ワイバーンのクエストは楽勝だっただろう。ワイバーンなんてお前なら」

「それが父さん、そのワイバーンが蝿の王の手先だったんだ。不死身なんだよ」

「何だって、オオガミ不死身仲間だろ。知っているのか」

「ああ、やつは龍族でありながらバンパイアとなっている厄介なやつだ」

「オオガミ、すっかり飼いならされたようだな。私はうれしいぞ」

「カグヤ!貴様!」

「まあ、オオガミ、いきり立つな晴明の仲間だぞ、抑えろ。それより何でそんなことになった」

 晴明はアーティファクトの実のことを話した。

「それでその実はどうした」

「私のパパとママが持って行っちゃたの、ごめんなさい」

 晴海が頭を下げた。

「晴海ちゃん!よかったじゃない、お父さんとお母さんに会えたのね」

「それが私に気がつかずに逃げていったの」

「話はわかった。とりあえず春休みも終わるタイミングだ。一度戻るぞ」

「晴明君のお父さん、僕も考えがあるのでそれがいいと思います」

「天鼓君、どうやって戻るの」

 まだ、この近くにゲートポイントは見つけていなかった。

「それならば私がゲートを開こう、私もついていいっていいかな」

「そんなことができるなら大歓迎さ、天鼓君の研究所に戻ろうよ」

「ではいざ戻ろうか」

「ちょっと待ってよ、味噌煮込みうどん食べてからで」

 一同笑いがあがった。

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