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◎羊の皮を被った

「なにかハルアキにあったのか!」

 オオガミが大きな声をあげた。

 タマモはくすっと笑た。

「いや、あいつはいたって元気だよ。そんなに心配するな。また厄介な使命を負わされちゃったんだよ。手伝ってくれないかオオガミ、お前さんに呪いをかけたツクヨミも絡むことになるんだ」

「ツクヨミか、さっぱり何を恨まれているのか思い出せないでモヤモヤしてたんだ。直接わけを聞くしかないと思っていたんだ」

「それはあんまりやっちゃいけないよ。女心がまだわからないのね。自分で気づいて謝らなくちゃだよ」

「ま、それは置いといて、詳しく説明しよう。オオガミ、お前もよく知っている銀羽教、今はネオベゼルと言っているが、蠅の王を崇める教団だがニュースで知って入ると思うが警察によって壊滅させられた。そいつらが異世界に逃げたんだ」

「銀羽教か。厄介なやつらだった。ツチグマの息子のツキノワと戦国時代に戦い滅ぼしたと思っていたが闇に隠れていたようだな」

「そうだ、さっきもその被害者となったメダルホルダーを救ってやった。それとそのツキノワだが水無瀬家という存在も知っているよな」

「あゝ、あのサテュロスが僧籍に入り起こした家だな。ツキノワがその家の党首に帰依して手伝っているはずだ」

「その通りその末裔が晴明の彼女なんだ」

「なんだって、ハルアキに彼女!そりゃよかったな。その子が錫杖使いというわけか」

「ああそうだ。もっと驚くことを教えてやるよ。その晴海という女の子の母親がモモかもしれないんだ」

「モモ!あの中隊ピンクの狐獣人のか!!」

「そうなの写真しか見ていないけどあなたと同じ不死の力を身につけたようなの、事情はまだ分からないけど」

「その晴海の両親が異世界へ渡って蠅の王の息の根を完全に止めようとしているんだ。そして今まさに二人とその仲間が両親を探す為、異世界に行っている」

「ほんとにお前たち家族のお人好しさには頭が下がる。俺なら放っておくがな」

「私ももっと驚くこと教えちゃおうかな」

「これ以上驚くことがあるもんか」

 オオガミは冷めたコーヒーを飲み干そうとした。

奠胡(テンコ)迦樓夜叉(カルヤシャ)も晴ちゃんと一緒に居るのよ」

 思わずコーヒーを噴出したオオガミだった。

「あいつらがなぜ」

「二人とも生まれ変わったのよ。お釈迦さんに許されたんじゃない転生することを晴ちゃんのおかげかな。すごく手助けしてくれてるの」

「あいつらがなぁ」

 首をかしげるオオガミに

「向こうに行けばいやでも会えるよ。あまり色眼鏡で見てやるなよ」

「つまり俺に異世界へ行けっていうことだな」

「俺たちも一緒に行くから心配するな」

「また、三人で旅ができるね。昔みたいに」

「まったく、お前たちも変わらないな。なんだか退屈しのぎができそうだ。そうだ!それでそのツクヨミの話は」

「昨日のことだ。晴明がユートガルトで蠅の王を城の地下深くの迷宮に封印した張本人に巡り合ったんだ。千五百年間眠り続けていたカグヤという娘に」

「カグヤだって、薄れゆく記憶の中にその名前はたしかにあるぞ・・・」

 何かを思い出そうとオオガミは目をつぶっている。

「千五百年前のことを覚えているのか、奈良時代だぞ」

「その女だ!俺をこっぴどく叩きのめして、クラディウス家に仕えて転生者を待てといったのは」

「そりゃこっちが驚かされた。あのお嬢ちゃんがねえ」

「晴人、オオガミも見つかったし早く向こうに行こうよ」

 タマモが飛び跳ねて急かしている。晴明に会いたいのが一番だろうが

「オオガミすぐに出れるのか、俺たちは大丈夫にしているが」

「かまわないぜ。どうせ今仕事は何もないからな」

「じゃあ決まりだ。俺の家に来てくれ出発の準備をするから」

「車で送ろう」

「オオガミ、車持ってるの驚き」


 三人は階下へ取りていった。オオガミは銭形に留守を頼むと言って駐車場へ向かって行った。

 銭形は

「立て替えてた光熱費代稼いできてよ」

 背を向けたまま手を振ってこたえるオオガミだった。

 駐車場についた晴人は驚きの声をあげた。

「おいおい、オオガミ、ロクヨンじゃないか」

 白黒のパンダ塗装のカローラレビンの前に立った晴人が言った。

「あゝ羊の皮を被った狼だ。乗りごごちは期待しないでくれ、ちなみにこいつの前の車はブルバードのSSSだったんだぜ」

「ランタボかと思ったがさらに古いな。車の趣味もいいな、食に目覚めたおかげか」

 三人を乗せた車は有馬街道を北上していった。

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