◆厩戸
約一時間の入浴のあと銭湯の入り口で晴明たちは再び合流した。
「異世界の銭湯気持ちよかったね。これからクエストのあとはここで汗を流そうね」
「晴明、コーヒー牛乳なんて売ってなかったわよ」
「そりゃそうだよね。でもお風呂上りにこうして腰に手を置いてごくごくと飲むと気分が上がるんだ」
と言いながらコーヒー牛乳を飲む真似をする晴明であった。
宿に戻ると父のオーディーンの馬をカグヤに紹介した。
「あなたはドーマハルト・クラディウスとして約900年前にこの地ユートガルトに転生して王として蝿の王の復活を阻止したというのだな。晴明から聞いた。よくやってくれた、私が眠っている間に」
「カグヤさんよ。確かにそうだがユートガルトの歴史の中にあなたの名前は一度も見かけたことがないがどうしてだ」
「それはわからないが、クラディウス家の創始、ウーマヤート・クラディウスの名は知っているのか」
「残念ながら、うちの家のことは興味がなくてな、こっちはいきなり転生させられ悪を討てと命じられて戦っただけだからな」
「先ほど星を見て私が眠りについたのはウーマヤートと共にベルベゼブを封印した時代1500年前だとわかったのだ」
「俺のいたときからさらに六百年前だって!もしかしてあんた人狼のオオガミのことも知っているのか」
転生時に晴人はオオガミからクラディウス家の始祖に仕えたと聞いていた。
「そのものなら知っている。ウーマヤートが封印の一撃を手助けしたときに落ちてきた男だな。粗暴でどうしようもないやつだった覚えがあるがウーマヤートに仕えたはずだな」
「父さん、オオガミさんと知り合いだよ。驚いちゃうねえ縁の深さに」
「いやだいやだ、運命の歯車に組み込まれちまったみたいで、俺の息子をこれ以上巻き込むなといいたいな」
晴人は少しイラつき始めた。
「父さん、そんなことは言わずにカグヤを手伝ってもいい」
「どうにもならないんだろ、どうせ!最後まで付き合ってやろうぜ晴明」
「ありがとう父さん、僕もここまで足を突っ込んだからには最後まで見届けたいよ」
「それでカグヤ、どこまで知ってるんだ俺たち八雲家の運命を」
「それはアルテミス様のお心のままだろう」
「ところでツクヨミという名前に覚えはあるか」
「アルテミス様が地上に降臨された時に使った名だった気がする」
「オオガミのやつも探し出さないとピースが埋まらないということか、晴明、俺を戻せあいつを探してくる」
晴明はうなずいた。
「母さんとチェンジしたほうがいい、きっと待ちわびているはずだから」
「タマモは呼ばなくていい、話がややこしくなるから」
「そうだよねカグヤを見たらまた彼女候補とか言われちゃうもんね」
「そうそう、お母様まで紹介しなくてもいいのよ」
晴海は強く言った。晴明のあの母に合わせてはいけないと直感で感じたのだった。
そして父をメダルに戻した。
「カグヤ、僕たちはもう数日で一度もとの世界に戻らなくちゃいけないんだ。その間僕たちのチームに加わって冒険者ギルドのクエストを手伝ってもらってもいいかな」
「それはかまわない。今の時代を把握しておきたいからね」
チームにカグヤとだぶあが加わった。




