◆竹取物語
「まずは何から語ろうか」
「もちろん、私の晴明になんで手をつけたのかよ!!この泥棒猫!」
「ちょっと晴海、ここは落ち着いて、お願いだから。カグヤ、ここで長い年月を待ち続けたわけを話して
「 ベルゼブブ、蝿の王を知っておるようじゃが、それをこの地に封印したのが私の育ての親の陰陽師タダ・カーモだった。封印するための五つのアーティファクトを私に集めさせ自らの命を賭して深い深いダンジョンの底へと閉じ込めた。滅するには英雄たる人物がいなかったのが残念だった」
「ユートガルト城の地下に封印した当事者なの!」
「そうだ、それから私は自らその英雄を待つためにこの場所に眠りについた」
「話が壮大すぎてわけがわからないけど私の晴明がその英雄だって言うの」
「その要素を含んでいるということだ。私の眠りの封印を解けたのだから」
「そんなの無理だよ。僕は普通の中学生だよ。ヒーローは大好きだけど英雄なんてとんでもない」
「しばらく行動を共にさせてもらって確かめる。無理と判断したらまた眠りにつくだけだ」
「えー一緒についてくるって言うの!私は絶対いや」
「仕方ないよ。このまま放って置くわけに行かないよ。みんなのところに連れて帰ろうよ」
「いやよ、絶対いや!」
「お願いだよ。そんな聞き分けのないことを言う女の子じゃないだろう。僕は悲しいよ」
晴海は晴明の言葉に不安を覚えだした。嫌われてしまうのじゃないかと。
「じゃあ、私にもキッスして」
ぎくりとする晴明だが晴海は目を閉じて待っている。
「かあさん・・どうすればいいの・・・」
心の中でつぶやくが
「もっと雰囲気があるところで必ずするから、待っててくれない」
逃げの一手を打った。
「もう!わかったわ、約束よ。カグヤ、着いて来なさい。許してあげるわ。でも二度目はないわよ」
「あなたに許される覚えはないが、無駄は省こう」
ほっとする晴明
「ところで見たところ私と同い年みたいだけどいくつなの」
晴海は年上だったらおばさん扱いをするつもりでいた。
「歳はない、活動始めたのは六年だ」
「ますますミステリアスな人だな。いいや体は動く、僕たちにはほかにも仲間がいるんだ。紹介するから出発しよう」
「わかった。体の機能に特に異常はない」
三人は宝蔵院たちが待つ場所へと歩みだした。




