◆眠り姫
「おかしいな晴明君、おやつの時間になるのに。。。」
「晴明に何かあったに違いないみんなで捜索に行きましょう」
「ヨシュア、もう少し様子を見たほうがいい、闇雲の出ても入れ違いになるやも知れん。それとも一人で探査に向かうか」
そのヤーシャの一言でヨシュアは黙り込んでしまった。
「心配だが仕方ない、晴明君を信じて待ってみよう」
宝蔵院たちは集合地点で待つことを決めた。
「晴明、これで何体かな」
倒したヒポグリフに足を乗せて晴海が言った。
「えーと、30体かな。気配消えちゃったね。打ち止めかな」
「そろそろ戻らない、お腹すいちゃった」
「僕もだよ。急ごうか」
晴明と晴海は集合地点に向かおうとしていた。
しばらくすると晴明が歩みを止めた。
「どうしたの晴明、まだヒポグリフがいたの」
「いや、向こうに竹林があるんだ。筍を持って帰らない」
「もう、食いしん坊ね」
笑う晴海を後に晴明が竹林へ駆け出していってしまった。
仕方なく晴海も着いていこうとしたが晴明が剣を構えて後ずさってきた。
「晴海!敵だよ!」
竹林からからくり兵が現れた。かつての敵、奠胡が使用した人型兵器だ。
「なにこれ、天鼓君が作ったやつみたいだけど」
そのからくり兵は長い年月を経ていたのであろうか苔むしていた。
晴明に襲いかかってきた。
加速で迎え撃つ晴明、からくりへの背後に回った。
「リセット孔がない、オリジナルなのか、仕方ない」
あさみどりやなぎまけつけ
拘束
地面から無数のつたがからくり兵の動きを止める。
あしびきの
みねにつもりしそのここら
わがしるしをしめし
われなしちからを
空間
晴明の呪文がからくり兵を貫いた。沈黙するからくり
「晴明、どうしてこのからくりがいるの?」
「わからないよ。でもこの先に何かあるのかもしれない」
再び竹林に足を踏み入れる晴明
「あれは何!」
古代の建造物が目の前に現れた。小さな社のような石組みの建物だった。
「封印がなされている中に何かからくり兵が守っていたものがあるかも」
「教団の持ち物かしら」
「なんだか違うような気がする。開けてみよう」
晴明は印を結んで
むくつけいしむつかるのろい
解呪
入り口を守る結界をといて扉をあけた。
四畳半ほどの広さの奥の壁面に棺のような物体が置いてあった。
「何かしら、これも封印がされているのかな」
晴明が手を触れると光り輝きだし蓋が開いていった。
中が見えるか否か
「だめー!!」
晴海があわてて晴明の目を両手でふさいだ。
全裸の少女がそこには納められていた。
ピクリとも動かず目を閉じ横たわっていたのであった。
晴明を後ろに向かせ
「何か毛布出して」
晴明のアイテムボックスから毛布を受け取りその少女にかけた。
「もう振り向いてもいいかな」
「いいわ、でもこの子何者なのかしら」
晴明はその毛布から覗く女の子を見たとたん胸がときめいた。それはなぜだかわからないが心惹かれてしまった。
その様子に気がつき晴海は機嫌が悪くなっていった。
「なに見とれてんのよ!もしかして死んでるのかしら」
「いや、眠っているだけみたいだ。起こしてみよう。何かわかるかも」
とはいったがいっこうに目を覚ます気配がない。
「ひっぱたたいて起こそうか」
「ちょっと待って晴海」
晴明は少女の額に手を当てて魔力を注入した見ると、真っ白だった顔色に紅がさした。
目をゆっくり開いていく、
「時が来たの」
一言口を開いた。




