◆錦帯橋
あくる日晴明は銀のメダルと車の融合を試みてみた。火車の影響を受けているのかオーディンの馬に投入すると真っ赤な車へと変化した。
「これでガソリンの心配をせずにどんどん進むことができるね」
「晴明、色も私好み、かわいいわ」
「アリガオウゴザイマス」
「うわ、しゃべったわ!この車」
驚く晴海に晴明は
「名前つけてあげよう。ナイトがぴったりだと思うんだけどいいかな」
「晴明、もしかしてまた昭和オタクのネーミングじゃないの」
「ばれたか、色は本当は黒なんだけどね」
「アリガトウゴザイマス、ゴシュジンサマ、ないとガンバリマス」
「出発しようか。みんなナイトに乗って」
自動運転でスタートした。
「運転しなくていいという燃料だけでなくいい効果が出ましたね。ヤーシャの負担もなくなってよかったですね」
「別に運転など何の負担もないがな」
川までの道のり何事もなく進んでいった。
「見事に橋が壊れていますね。修理ではどうしようもないので新しく作りましょう。川幅は約50メートルというところですか。アーチ橋で何とかなりそうですね」
宝蔵院はパソコンに図面を描いていく
「どのくらいで橋はできそうなの」
「明日までかかるかもしれませんね。急ぎましょう木材と石材を集める班に分けて材料を集めましょう」
「向こうに渡るだけならゴーレムに乗って渡ればいいんじゃないか」
「ヤーシャ、ここの住人達の為にも橋をかけてあげる方がいいに決まってるよ」
「お人好しだな。何の得があるというんだ」
ヤーシャは納得がいかないようであったが、宝蔵院はゴーレムを精製してに班に振り分けた。
「晴明君と水無瀬さんは石材をヤーシャとヨシュアは木材をお願いします」
必要量を計算した宝蔵院は各自に必要材料の調達を頼み。川の計測を始めた。
夕方になる頃にはある程度材料が揃うと
「パーツの成型は晴明君の術でお願いします。向こう岸にどんどん送っていきます」
晴明が木材を宝蔵院の図面に合わせて剣で切っていく、ゴーレムは石材を持って川を渡り基礎を作っていった。
リリは退屈そうに水辺で遊んでいたが乗っていた石から足を滑らせてか川の流れに飲み込まれてしまった。
気配に気づいたのは晴海であった。
「リリが大変!」
慌てて川に飛び込んでいく晴海、リリはどんどん流されていった。
ヨシュアも川に飛び込み晴海とリリを追った。
異変にやっと気が付いた宝蔵院は
「晴明君!大変だよ。リリが川に流された」
晴海はやっとリリのところまで泳ぎ着き塗壁を呼んで浮袋代わりにその上に乗りリリを引き上げた。ヨシュアもたどり着いたが三人を乗せたまま塗壁は下流に流されて行ってしまった。
「見えなくなちゃたよ!晴明君どうしよう」
「天鼓君あわてないで、晴海とヨシュアがいるから大丈夫だよ」
うろたえる宝蔵院を安心させるためにそう言ったが、晴明も心配であった。
「天よ、うろたえるなきっと無事に戻ってくる。作業を続けよう」
ヤーシャも宝蔵院に言ったが
「リリを探しに行くよ」
宝蔵院はナイトに乗って追いかけようとしていた。
「ワタシガ、サガシニイクノデマッテイテクダサイ」
ナイトが言った。
「でも川沿いに道がないよ」
「マカセテクダサイ」
というと変形して人型にトランスフォームして走っていった。
「あんなことまでできるんだ。天鼓君、安心して待っておこうよ」
リリたちの探索はトランスフォームしたナイトに任せることになった。
作業を続けて夜になったが宝蔵院は寝ずにリリたちを待っていた。




