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◆リザードマン

 手早く夜営の用意や車を収納して、

「僕と父さんが敵を引き付けるから、晴海は天鼓君とリリを守りながら森へヤーシャさんと合流して逃げて」

「晴明、これ、天鼓君が異世界用に用意した通信装置」

 眼鏡を晴明に渡した。

「父さん、これ掛けてて」

 眼鏡をかけながら「晴明、なるべく穏便に済むようだといいな」

「もちろんだよ。話し合いで済めばそれに越したことはないよ」


 警戒をしながら、敵意を持った者たちの方へ進んでいった。

 ダチョウのような生き物に乗った爬虫類人、リザードマンが十人こちらに向かってきた。

「初めて見る種族だな」

「父さん、戦闘力はそんなに脅威ではないみたいだけど」

「油断するなよ。あの槍には毒が塗ってあるようだ」


「人族がこんなところで何をしている」

 派手な鎧を着た一人のリザードマンが晴明たちに話しかけてきた。

「旅の途中でユートガルトに向かっているんです」

 晴人は答えたが

「ユートガルト?どこだ、そんな場所はないぞ。怪しいやつだな。ついて来い、抵抗すれば殺す」

 槍を晴人に向けた。

「逆らうつもりはない。このとおりだ」

 両手をあげて敵意のないことをあらわした。晴明たちは後ろ手に縛られ連行されていった。


「よかったすぐに見つかって」

「どうした晴海、何かあったのか」

 晴海はヤーシャの気配を探って探し出そうとしたが、宝蔵院にギアーレを探す方が簡単だと言われ獣の気配を察知すると獲物を狙っているヤーシャを発見した。

「晴明君とお父さんが、敵らしきものたちと遭遇したんだ」

 宝蔵院はパソコンを取り出して通信装置をオンラインにした。

 画面にリザードマンたちが映し出された。

「何このトカゲ人間、晴明たちは大丈夫」

「あとをつけて助け出しましょう」

「天、その必要はないだろう。あの二人なら自分で逃げてくる。近くに待機しておけばいいだろう」

「そうよね。きっと何か情報を得るためにわざと捕まったんだわ」

「リリ、この人たちは知ってる」

 宝蔵院はリリに聞いてみた。

「この人たちは夜しか出てこないよ。リリたちにひどいことしないけどこっちの方へ来るなと行ってた」

「やっぱり夜行性なんですね。僕たちは朝までこのあたりで休みましょうか」

「そうとなったらお腹が空いてきたわ。すき焼食べそびれちゃったし」

「今夜は携帯食で過ごしましょう」

 塗壁から食品バックを取り出してわびしい夕餉を取った。


 晴明たちは洞窟で尋問を受けていた。

「知らないと言ったら知らないんだ本当に、この世界のことを逆に教えてもらいたいくらいだ」

「人族はハルトの街以外にいない。こんな辺境へ来るにはなにか理由があるはずだ」

 晴人は驚いた。自分の名前の街があることに

「俺は晴人というんだが、そのハルトという街とはどこにあるんだ」

「とぼけているわけじゃなさそうだな。何故そんなことも知らないんだ。人族のくせに」

「君たちはその人族と敵対関係にあるのか?」

「そんなことも知らないのか、しかし嘘をついているようにも見えない。私はアルテミスの民のヨシュアだ。そこの小僧は」

「僕は晴明、ヨシュアさんよろしくお願いします。もっといろいろ教えてください」

「よろしくと言われてもな。実は俺も人族と会うのは二度目だ」

「そのハルトの街へ行ったこともないということなのか」

「その通りだ。西へ向かうと魔物がうようよいてとてもじゃないがハルトへは行くことができない」

「もしかして前にあったという人間はこの二人か」

 晴海の両親の写真を見せた。

「エイセイとモモカの絵じゃないか。うまく描けているな」

「そうだよ知り合いなんだ」

「それでは(おさ)に合わせてやろう」

 二人は縄を解かれ穴の奥へと導かれていった。

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