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◎神獣たちとの再会

「ちょっと誤解がある表現だったね。誰かのために力を使うのが僕のやることなんだ。特別な力を持った使命ってやつだよ」

 すっかりヒーロー物の世界にはまり込んでいた。父、晴人の教育は成功していた。

「私のためだけに戦ってほしいけどな晴明、素敵」

 じっと見つめられて晴明は目をそらして

「さあ、ヨダル老子のところに行こう。ピコーナどこにいたの」

「ここから引っ越して祇園神社にいる見たいピコ」

「ヨダル老子って誰なの」

「フーさんと一緒で四神獣の一柱(ひとはしら)玄武(げんぶ)の化身だよ。昔はこの公園に住んでたんだけど」

 公園を出て二人は歩き始めた。

「ここに平清盛が住んでたんだよ」

 と見てみるとそこには水族館ができていた。

「晴明、水族館よ。入りましょうよ。亀もいるかもよ」

「晴海、また今度にしようよ。先に用事を済ませないと」

 名残惜しそうに水族館を見ている晴海の腕を引っ張った。自然と手をつなぐ形となっていた。

 神社に向かう途中温泉があった。

「そうここは千年前から温泉だったんだよ。周りはすっかり変わってるけど変わってないところもあるんだな」

 懐かしそうに歩いている晴明に

「晴明の手、意外と大きいのね。もっと身長伸びるね」

 今は少しだけ晴海のほうが身長が高い。手を繋いでしまっていることに気がついた晴明は解こうとしたが晴海はきつく握り返していた。

 神社に入った二人はお参りをして辺りをうかがった。

「晴明、ここよ。オン サンマヤ サトバン!」

 普賢菩薩(ふげんぼさつ)の真言を唱え入り口を開いた。空間のゆがみに二人は進んだ。

「ヨダルのじっちゃんいる」

「誰じゃ、わしの眠りを妨げるのは」

 大きな岩から声が聞こえてきた。

「僕だよ晴明だよ」

 岩の中から顔が飛び出してきた。

「晴明?だれじゃったかの」

「導魔法師の息子だピコよ」

「おお、ピコーナか久しいのハルアキとはどういうことじゃ」

「もうぼけてるのじっちゃん、僕だよ僕!」

「おお、姿は多少違うがハルアキではないか。何のようじゃ」

「父さんが預けたからくりの体を返してもらいに来たんだ」

「はて、何だったかな。八千年も生きると忘れやすくなっての」

「亀は万年でしょ。まだ老け込むには早いよオーディンの馬!」

「おお、あの法師の体か、あれは・・・たしか・・そうじゃ、ミシエルに渡したぞ」

「ミシエル師匠のところにあるの」

「そのお嬢ちゃんは誰かの」

「水無瀬晴海です。晴明君とお付き合いさせてもらってます」

「おお、それはそれは、水無瀬家のものか。盛俊(もりとし)の子孫にしてはかわいいのぉ」

「お付き合いしてるだなんて・・・えっ晴海は盛俊の子孫なの驚いた」

「晴明、知ってるのうちのお寺の開祖さま」

「サテュロスって言う魔物だったんだよ」

「そうじゃ、晴明によって改心してわしの元で修行して立派な僧侶となったんじゃ」

「そういう云われがあったんだうちの寺、そうだ」

 晴海は塗壁を呼び出して錫杖を取り出した。

「この錫杖の亀さんておじいちゃん?」

「おおその錫杖を使えるのか。ええ子じゃ、変身しておくれ」

 晴海は三回打ち鳴らしてゴスロリ姿へ変化した。

「おお、ええのう若返るわ」

 いつまにか小さな老人が晴海のスカートの中を覗き込んでいた。とっさに晴海は蹴り上げてしまった。

「なに覗いてんのよ。エロじじい」

「変わらないなじっちゃん」

 晴明はヨダルを拾い上げた。

「年寄りに乱暴する出ないぞ。痛たったたっ」

「ごめんなさい、つい」

「まあええわい、ええもん見せてもろうたから、これからミシエルのところへ行くならたまにはこっちへお茶でも持ってこいといっておいてくれ」

「わかったよ。じゃあ元気でね」

「失礼します。もう覗かないでね」

 二人はヨダルのところを後にした。

「晴海、青龍さんって北野にいるの」

「そうよ、この近くよ。歩いて行こう」

 そう言って北野へ向かっていった。バスに乗ればいいのに晴海は手を繋いで歩くことを選んだ。

 道すがら晴海は青龍との修行の話をしていた。青龍の弓の話を聞いて

「そうだ。青龍の鎧、すごいパワーアップアイテムなんだよ。またもらえるかな」

 金甲山で手に入れた青龍の加護を持つ鎧だがフルパワーの自分の力で粉々にしてしまっていた。変身ベルトとしてお気に入りのアイテムだった。

「そんな鎧もあるの師匠はすごいわね」


「師匠、彼氏を紹介に来ました」

「ちょっと、ちがうだろう」

「なかなかいい感じの男の子じゃないか」

「覚えてませんか、僕です晴明です」

 じっとミシエルは晴明を見つめたと思うと土下座をした。

「あの時は大変申し訳ありませんでした。助けていただいたのに十分な御礼ができずになんせ生まれ変わったばかりでして」

「もう土下座なんてやめてよ。晴海も引いちゃってるから、でもこんなに大きくなれたんだね。よかった」

「師匠、晴明に助けられたことがあるの」

「悪鬼に乗っ取られたところを救ってくれたんだ」

 改めて晴明を見つめる晴海、目も口も開きっぱなしだ。

「ヨダルのじっちゃんが預けた。父さんの体返してもらいに来たんだ」

「おお、これのことか」

 空間からからくりの体を取り出した。

「そう、これこれ懐かしいな。それと坂上田村麻呂(さかのうえたむらまろ)にあげた鎧の予備ってない」

「ああ、あの鎧かしばらく時をもらうがもう一度作ってあげよう」

「それなら初期設定はベルトでお願いします」

「一週間ほどで用意しよう」

「ありがとうございます」

 アイテムボックスにオーディンの馬を収納してミシエルの元を後にした。

「これで御用事済んだの」

「うんとりあえず」

「天鼓君のところへ行かない」

「いいけど、警察の人がいるとまずいよ」

「わかったわ団長さんに連絡してみるね」

 軽足に電話をかけて研究所の様子を聞いた。

「だいじょうぶ、誰もいないみたい。団長さんが迎えに来てくれるから行きましょ」

 神社の前で軽足の到着を待つ二人だった。

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