◎初デートサイドB
「父さん、ヨダルじいちゃんのとこ行ってくるね」
「新開地へ寄って餃子買って来てくれよ」
「了解!野球カステラも買って帰るからお小遣い頂戴」
福沢諭吉を一枚ゲット
「いってきまーす」
「父、先に行って探しておくね」
ピコーナ・ミニは飛んでいった。
オーディンの馬を帰してもらうために神獣ヨダルのところへ向かうのであった。
「一緒に行ってヨダルのエロじじいの顔見たいけど今日は予約いっぱいなのよ。晴ちゃんよろしく言っといて」
「神獣をエロじじい呼ばわりはなんだかと思うよ」
「あの時もたいして役たたなかったじゃない。フーちゃん見たいに活躍してなかったじゃない。そうだ、フーちゃんもどこかにいるかな」
「聞いておくよ。老子に」
そうだなピコーナもいたし、フー・スーさんも現代にいる可能性はあるなと思いながら駅まで歩いていった。
四神獣は敬称でスーをつけるとピコーナが言っていた。ということはピコーナ・スーが正式名称なのか。ヨダル・スーは生きているのだろうか。
まずい、水無瀬さんがいる。まだどう説明するか家族会議の結論が出ていなかった。
「やあ、晴海さん、おはよう」
挨拶しないわけには行かない。昨日家に来てくれたのだから
「おはよう、晴明君、どこに行こうとしてるの」
異世界にわたるために君のための準備だよとも言えず
「うん、湊川駅まで乗って平野に行こうと思って」
「平野?」
「平清盛が住んでたとこなんだ」
久しぶりに?千年ぶりにだけどどうなっているのか
「歴史大好きなの、ちょっと時間ある」
まずい、どうしよう。
「まあ、用事はそんなに時間がかからないと思うけど」
餃子を買いにいくついでいやオーディンの馬を取り戻しにいくだけだからさして時間はかからなさそうなのでそう答えた。
「『平安の暮らし展』の券があるの静香と行こうと思ったらドタキャンされちゃって」
どんな展示だろう気になる。
「おもしろそうだね」
「そうでしょ、行きましょうよ。博物館」
ちょっと回り道だけど様子を見てみるか。
「いいの僕とでいいの」
「話は決まり!行きましょ」
うわ、引っ張られちゃった。
電車の中では晴明は質問攻めに会っていた。
一年近く暮らした平安のことだから簡単に答えた。
「詳しいのね晴明君、平安時代ってそんな生活だったの」
詳しい?教科書に載ってる知識だよ。晴海ちゃん歴史に疎いな。
「結構のんびりしていたんだよ。宋との貿易で神戸もにぎやかだったんだよ」
あのときの暮らしが蘇ってきた。
「なんだか見てきたみたいに詳しいのね。博物館でもいろいろ教えてね」
いいな晴海ちゃんかわいいな。熱心に話を聴いてくれる彼女に興味がわいてきた。
「晴明君てすごいね。歴史学者になれんじゃない」
ごめんね。その時代に生きてただけなんだ。
「得意分野というか平安の暮らしに詳しいだけだよ」
これからどうやって晴海と分かれるか
「ねえ、平野に行くご用事も一緒に行っていい」
えっ付いてこられちゃ困るけど本当のことを言うチャンスかな。
「いいよ、大事な話もあるし」
「どういうことかしら、でも晴海うれしい」
「バスで行くのが早いんだけど歩いていってもいい30分くらいかかるけど」
「もちろん、晴明君と歩きたいわ」
ちょっと照れくさな。
「おなかすいたね。何か食べようか」
「南京町でも行く」
晴海はそう言うが新開地でのお買い物もあるし
「あそこは観光客だらけで僕の知ってるところでもいい、何が食べたい物はある?晴海ちゃんは」
答えは聞いていなかった。神戸のB面と呼ばれている新開地へ行くつもりだ。餃子とジンギスカンを食べるつもりでいた。家のお土産の指令優先であった。
「新開地って怖いところだと思ってたけど美味しい店知ってるのね晴明」
いきなり呼び捨てにされちゃったか。甘く見られちゃったな。
「お父さんと一緒に食べ歩いてるからだよ。このまま北の方へいくと平野だよ」
湊川公園を抜け市場の中を歩いていく二人
そのとき晴明はメダルを感知した。こんなときにと戸惑う晴明、晴海の顔もなぜか険しくなっていた。




