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〇憤怒

 龍が画面から徐々に這い出してきた。しかしその姿は龍と言うよりドラゴンと言った方がふさわしい姿であった。

「ミシエルちゃんじゃにゃい!」


 10メートル以上はあるであろうドラゴンは二本足で立っている。

「怪獣だよ。こんなのとどう戦うの」

 ドラゴンはハルアキたちに目もくれず都の方へと歩いていく。

「この玉には青龍の魂が入っておる。フースー殿、持っておいてください」

 ドーマは竜玉をフースーに渡した。

「あっという間にあんなところへ早いよ意外と」

「追うぞ」



 導魔坊にあったアジトへの入り口が消えていた。

「ヨダルのじっちゃん、みんなは大丈夫だか」

「わからんがなにか(わざわい)が近づいて来ておるぞ。注意をするのじゃ」

「タウロ、金棒なんて持ってるけどどうしたの」

「タエ、ここは危ないだ。家に戻るだ」

「どうして、タウロが守ってくれるんでしょ」

「導魔坊の中に入ってるだ」

 タエを導魔坊の中に避難させると今度は清盛と崇徳院がやってきた。

「タウロ殿、法師はいらっしゃるか」

「清盛さま、ここはあぶのうございます。崇徳様とどこかへ避難を」

 佐助が注進した。

「ここより安全な場所などないわい。崇徳様もこの異変を心配しておられる。法師のご意見を聞きたいと」

「今、法師様はその災厄と戦っておられるところです」

「なに、まさに解決なさろうとしておるところなのか、それなら安心じゃ。崇徳様ご心配は無用です」

「得体の知れない不安がするのだ。おそろしい・・・」

 崇徳は何かにおびえ震えている。

「崇徳や、ドーマとハルアキがそなたを守ってくれるだろう」

「これはヨダル老師、こちらへ来ておらえたのですか。老師もそうおっしゃておられる崇徳様。大船に乘った気でいなされ」


 木々をなぎ倒してまっすぐと進むドラゴン、何かを目指しているようだ。

 そして山を下りて街中へと入った。人々はその姿に驚き逃げまどっている。

 家屋敷を踏みつぶし進んでいく。

「導魔坊の方へ向かってるみたいだよ」

「ハルアキ先回りして罠を張れ」

「ピコーナ」

 導魔坊へと飛んでいった。

「タマモ、私に乗るにゃ」

 フースーは白虎に変化してタマモを乗せて走った。

「オオガミ、槌熊、わしにかまわず先に行くがよい」

「オオガミ行くぞ遅れるなよ」

「偉そうに何を言う。おまえこそわしに遅れるな」

 ドーマを残しそれぞれが導魔坊へと急いだ。

「法師様、よければわしの背に乗ってください。足だけは早うございます」

 逃げ足だけは早かったサテュロスがドーマを背負って駆けだした。


 ハルアキは導魔坊の庭に飛び降りた。

「ヨダル様、それに清盛さんに崇徳様までどうしてここにいるの、危ないから導魔坊の中に避難して」

「どうしたのじゃハルアキ」

「マサカドの龍がここに向かってるみたいなんだ」

「青龍か」

「違うんだ。青龍様は竜玉の中へ体を乗っ取ったマサカドが来るんだよ」

「ではわしも迎え撃つかの」

 ヨダルは再び大きな亀へと変化した。

「うあ。怪獣大決戦だ」

 ヨダルとピコーナが並んでいるところをしげしげと見ていた。

「いけない、魔法陣の準備だ」

 ハルアキはせっせと魔法陣を描き出した。


「ハルちゃん、準備はできたの」

 フースーとやってきたタマモはハルアキに言った。

「まだまだ時間が許す限り描くよ」

 熱心に魔法陣を描いていった。


「俺の勝ちだ」

 オオガミが槌熊に誇らしげに言った。

「弱い癖に足だけ速いな犬コロ」

 にらみ合っていた。

「バカしてないで迎え撃つ準備しなさいよ」

 にらみ合う二人の頭をぶつけ合わせた。


「法師様、こんなに近くまで寄って平気なんですか」

「どうせわしらのことなど気にもしてまい。観察させてもらおう」


「ハルちゃん、来たよ」

 身構えるハルアキたち。


「清盛よ。奴はわしを追ってきた。声が聞こえるのじゃ」

 崇徳院はぶるぶる震えながら清盛にしがみついている。


「まずはこれでも喰らえ」


ちはやぶるかみのちぎりしほむろあれ

おほけなしものをしたたむれ


火柱(コロディフィ)


 次々に業火がドラゴンに命中するが全く気にもせずにこちらへ進んでくる。


「やっぱり火ではだめか」


しろたえのゆきをあるじす

あながちなり

せめてものこおりもてなす


氷結(ギアッチョ)


 しかし氷を溶かして進むドラゴン


「オオガミさんたち、頼むよ」


あさみどりやなぎまけつけ


拘束(コンテンツオーネ)


 無数のツタが地面から現れドラゴンを拘束した。

「マサカドさんよ、これ以上無益なことをするんじゃない」

 槌熊は飛び上がり渾身の力でメイスでドラゴンの腹のあたりに叩きつけた。

「ぐあぁ!」

 ドラゴンが叫び声をあげる。腹の肉をえぐり取った。

 今度はオオガミが飛び上がり胸のあたりに切りつけた。

「ぐぁあぁ!」

 オオガミ、槌熊が交互に切りつけてドラゴンを削っていく。

「ハルアキ、やつのうろこは呪文をはじく、傷を狙え」

 ドーマの言葉に

 ハルアキは火球を打ち込んでいった。

 ドラゴンは拘束のツタを引きちぎり反撃に出始めた。

 攻撃をしているオオガミ、槌熊を払いのけた。その威力はすさまじく二人の全身の骨を砕いたようだ。

「ハルアキすまん、しばらく動けそうもない。時間を稼いでくれ」

 オオガミが血を吐きながらハルアキに言った。満月まで三日の再生能力では時間がかかる。

「坊ちゃん危ないだ」

 ハルアキ目がけて振り下ろされた腕をタウロがハルアキを突き飛ばして防ぐが吹き飛ばされてしまった。

「タウロ!」

 導魔坊からのぞき見していたタエが、思わず飛びだしてタウロの元へ駆けつけた。

「あぶねえだ。タエ」

 その二人を目がけドラゴンが火炎を吐いた。

「タウロ!タエ!」

 ハルアキが叫び、土壁(パレーテ)を二人の前に構築したが遅かった。二人は消え去ってしまった。

 膝から崩れ落ちるハルアキ、憤怒の表情でドラゴンを睨みつける。


 加速(アクセル)


 無言のまま天叢雲剣(あめのむらくも)でドラゴンを鬼神の如く切り裂いていく。

 ドラゴンが崩れ落ちた。それでも加速をやめない。

「ハルアキ、加速を解くのじゃ。これ以上は体がもたんぞ」

 ドーマの制止を無視するハルアキ、しかし限界が訪れた。


 ドラゴンの前に倒れてしまった。

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