87話 クレーター
「……え?」
何言いだしてるのこの人。怖いんですけど。
「核を破壊するのと下に足場を作るためよ。このままゆっくり近づいてももうすぐ時間切れで落ちるから、どうせならまとめた方がいいでしょ。一石二鳥」
メイがそう言いながらサムズアップ。
俺からも一応返しておく。
「もうあんまり時間がないの。さっさと済ませるわね」
メイは杖を生み出した。
「『バーデリズン』」
メイの杖の先に火の玉が現れる。
明るく真っ白に輝いていて、直視しすぎると目がやられそうだ。
そして、サウナに入っているような熱気が肌を焼く。
俺は少し後ろに下がった。
「そうね、もっと離れた方がいいかも。それか上に浮くのありよ」
メイがそう言った直後、ハルは垂直に上昇する。
どうやって上に上がるのかがわからなかったので、とりあえず上を向いてみることにした。
「……おお」
身体が上昇する。
程よく距離を保てたらメイはこちらを一瞥した後、その火の玉を自分たちの真下に投げた。
火の玉が木の葉の陰に消えたと思った次の瞬間、木の葉が暴風に踊らされるように暴れ回る。
そして、火の玉が消えた辺りから大きな爆発が起こった。白い光は周りの木々を燃やしどんどん広げていく。
そして、それは俺たちの方にも広がってきた。
まずいと思い俺は急上昇する。
上昇する瞬間、メイが白い光の中に消えるのが見えた。
あ、と思ったが、自分で作った爆発のため何かしらの対策をしているだろうと考えた。
上に逃げてようやくそれから逃れることができた後、俺はメイたちの方へと向かった。
森には大きなクレーターが生まれていた。
あの核があるだろう場所ももうどこかわからなくなっていた。
「そろそろ降りた方がいいわ」
そう言ってメイが体を降下させる。
それにハルも続く。
あれ、そういえばハルって高いところ苦手じゃなかったっけ。
ふと思った疑問を考えながら俺はクレーターへ体を下ろす。
ハルは特に具合が悪そうにはしていない。
じゃあ前に高いところから飛び降りた時の反応は何だったのか。絶叫系が苦手とか?
「伏せて!」
メイの声が聞こえて、咄嗟にその場に伏せる。
次の瞬間、頭の上を黄色い閃光が通り過ぎていた。
それは木に着弾すると、そのまま貫通していった。木にはぽっかり穴があいている。
身体に当たっていたらと思うと背筋が凍る。
俺はその閃光が飛んできた方向に目を向ける。
そこには木の陰から覗く2つの『目』があった。
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