81話 寝起きの『マピミク』
俺の目は突然外界の光を捉える。
意識は覚醒し、俺は体を持ち上げる。
相も変わらず静かなこの場所。
2人はまだ眠っていた。
俺は外の空気を吸おうと外に出ようとする。
その時ふと、ある光景がフラッシュバックしてきた。
大量の犬のような獣に囲まれる状況。
俺は歩みを止める。
とても嫌な予感がした。
昨日のあの雰囲気といい何かがいる。
「どうしたの?」
突然横から声が聞こえる。
ハルも起きていた。
「ああ、外に何かいるような気がして」
「気のせい······ではないようね」
ハルも何かに気が付いたのか、俺の意見に賛同した。
やはり何かがいるようだ。
外が見えないため肝心の何かは未だに分からないが。
「でも私たちを見てるわけじゃないみたいよ」
ハルは続ける。
「多分このまま待ってれば大丈夫」
「じゃあちょっとだけ待つか」
俺には外の様子はほとんど感じることが出来ないため、ハルの言うことを信じるしかなかった。
少なくとも、前と同じ状況になるよりかは幾分かましだろう。
そういえば。
前にあの獣に囲まれたとき、俺が炎を奪った際すぐにハルが飛び出してきたが、あれはどういうことだったのだろうか。
外の様子はハルの方が感じ取れているが、見えてはいないようである。
……まあ、またあとで聞くとするか。
メイにもあの状況からどうやって切り抜けたのか聞いてみよう。
俺は思考をやめ、ハルの報告を待った。
「……全然気配が消えない」
いくらか時間がたった頃、ハルが静かに言葉を漏らす。
俺はその言葉だけでは今の状況を想像するのは難しかった。
「つまり、どういうことだ?」
「どんどん新しい個体が通って行ってる」
何だその状況。
「これはもしかしたら……」
そんな時、ハルは何か心当たりがあるような反応を出す。
「どうした、何か思い当たる事でも?」
「ええ、これは多分、『アウトブレイク』」
『アウトブレイク』か。そのままの意味通りであるならば……。
「ちなみに、それはどういうものなんだ」
我ながら頭の悪い質問をする。
「言葉の通りよ。いわば、魔物の大量発生ね」
大量発生。
それは前回のあの状況にも通ずるところがあった。
「でもよかったじゃない」
「何がだ?」
「だって一つ謎が解決した」
「どういうこと?」
「『アウトブレイク』は現在まで聖域でしか確認されてない。つまり、今私たちがいる場所が神森だってほぼ決まった」
「いやそれだけわかったところでな気がするけど」
「ふわぁーあ。おはよー」
そんな時、後ろから呑気な声が聞こえてきた。
「メイ、寝起き直ぐで悪いんだけど外の様子って確かめれるか?」
「うんー、りょーかーい。『マピミク』ー。」
覇気のないふわふわした声で返事をし、そのまま唱えながら杖を地面に突き刺す。
こんな状態であっても杖を出すときのキレは完璧であった。
「は? 多くね?」
白い円が広がったと同時にメイから眠気が吹き飛んでいる。
若干口調も変だったような。
「これは……。めんどくさいことに巻き込まれたわね」
メイが嘆息しながらそう言った。
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