77話 洞窟の出口
俺達は少し狭くなった一本道を歩き続ける。
上り坂に体力を奪われるが、休むことなく進んでいた。
不意に、白い光が視界に小さく現れた。
あれってもしかして。
「あそこが出口ね。ようやくだわ」
メイがそう言う。
どれだけの距離歩いたかはわからないが、ようやくこの苦労も報われたような気がする。
その外からの日差しは近づくにつれて強くなり、やがて俺達を包み込んだ。
久方ぶりのその強い光に一瞬目を瞑るが、すぐに開ける。
外に見える景色は緑だった。
しかし、こんな景色を見た覚えはない。
入り口と出口は違う場所だったのか?
そもそも、行きと帰りでは洞窟の中の様子も変わっていた。
何故かはわからない。
ふと、俺は洞窟内で出会ったあの男の言葉を思い出した。
辺りを確認する。
何の変哲もないように思う。
ハルとメイも同じように周りを確認している。
聞こえるのは風に吹かれ揺れる葉っぱが擦れる音だけ。
ガサッ。
そんな自然の世界に生まれた、小さな異音。
意識しなければ聞こえなかったであろうその音を、俺は確かに聞き取った。
しかしまだ動かない。
相手から先に攻撃させる。
「周りの様子はどうだ?」
「まあ大丈夫じゃないかしら」
「……人が隠れてるっていうこと以外はね」
ハルが小さく言う。ハルも気付いている。
相手の場所がわからない以上迂闊に飛び込むのは危険だ。
俺達は動けないまま静かにその時が来るのを待ち続ける。
ずっと視線を感じている。
緊張感が空気を漂い、俺の精神を蝕んでいく。
そして、その時は突然やってきた。
ザザザッ。
草を踏みつける音。その音は俺たちの方へと迫ってきた。
後ろか。
振り返ろうとしたその時、ハルが俺の背後に走り出した。
キンッという金属がぶつかり合う高い音が聞こえる。
俺が振り返った時、ハルのダガーは刀をはじいていた。
「負け犬がどうしてここに居るの?」
刀をはじいたハルが一歩下がり、相手を静かに睨め付ける。
黒いフードを深く被り、刀を下に向け静かに立っている男。
既視感。
「……俺があそこであきらめるとでも?」
「だって私に惨敗したじゃない。もう忘れたの」
「うるせえ、やれ」
「「「『フレンマ』!」」」
そいつがそう言ったその時、四方からそれが聞こえる。
「『バーリャ』!」
メイがすぐに唱え、俺たちの周りに結界を張る。
木々の間から飛んできたその光たちは、結界に弾かれバラバラの場所に着弾する。
そして、炎をあげる。
先程の静かな森から一変、辺りは火の海になっていった。
面白そう、続きが気になるという方、ぜひブックマーク、評価の程よろしくお願いします。
今後の執筆の励みになります。




