76話 短期決戦(3)
凄まじい衝撃が体を突き抜ける。
その衝撃で俺の体は吹き飛び、壁にたたきつけられる。
体の中から嫌な音が聞こえる。
体の隅々が激痛に蝕まれ、俺は何も出来ずに倒れる。
「『メーディ』!」
微かに残っていた耳から足音とそんな声が聞こえた。
体の内側から温められ、痛みが引いていく。
「大丈夫?」
メイが心配そうに俺の顔を覗く。
「ああ、ありがとう、助かった」
「あまり無理して動かないで」
「それよりあの魔物は?」
「今は動きを止めてるわ」
そう言って、メイが見た視線の方向に目をやると、足を凍らされもがいているあの魔物の姿があった。
近くにハルもいて、石を拾っている。
「足を固定するのは効いてたからとりあえず動きを封じたの。イツキの救助を急ぎたかったから」
「そうだったのか。固定しているうちに先に進めないのか?」
「ハルを見てて」
メイは俺にそう促す。
ハルはちょうど手で掴める程度の大きさの石を拾うと、俺たちが通りたい道に向かってそれを投げた。
ハルの手から離れたそれは綺麗な放物線を描き、
破裂した。
ハルがこちらに近づいてくる。
「あ、イツキ、大丈夫?」
「何とか」
「なら良かった。あと、やっぱり無理みたい」
ハルはメイに向き合い、そう言う。
「想像通りね」
「メイは何とかできないの?」
「無理やり破壊しようと思えばできるけど、私たちが無事に生き残る可能性は低いわね」
「そう」
ハルは少し納得いかないように声を出す。
「何かあるのか?」
「おそらく結界ね。割と強固に作られてるみたい。触れたらさっきの石みたいに軽く吹き飛んじゃう特別仕様」
「多分あの魔物が結界のコアみたいな役割を果たしているから、あいつを殺せばどうにかなるけど」
ハルは足を動かそうともがいている魔物の方に目をやる。
足元にあった氷に少しひびが入っている。
「一撃で仕留めるにしろ相当な威力で木端微塵にしないといけないと思う。爆発魔術なら二発ぐらいでいけそうだったけど」
「木端微塵、か」
その時、俺の頭に一つの考えが浮かんだ。
「……なあ、ちょっとやってみてもいいか?」
「何かいい案が浮かんだの?」
「ああ」
俺は立ち上がり、魔物の方を見据える。
チャンスは一回。
その時、氷の弾ける音が聞こえた。
「グォォォァァァァ!!」
怒りに身を任せ、俺の方に一直線に向かってくる。
それでも俺は落ちついていた。
きっと成功するだろう、いや、成功すると確信していた。
向かってくる魔物に向かって掌を向け、
「『解放』」
静かに唱えた。
刹那、掌が光り、その光は魔物の方へと飛んでいく。
「ギ――」
耳を劈く爆発音が響き、洞窟内で反響する。
魔物に断末魔をあげさせる時間さえ与えなかった。
顔面に直撃したそれは眩く、視界を真っ白に染め上げた。
そして、それが落ち着いた頃。
俺は魔物だったはずの肉片を見ていた。
もう何も動きはなく、完全に死んだようだった。
「さっきのは、私がイツキに撃った爆発魔術……」
「そう、それならいけるかなって」
あの時、爆発魔術を二回吸収した。それを放つときはまとめて出るのではないかと思っていた。
俺の予想は的中していた。
「結界はどう?」
「無くなってるわ。やっぱりあれがコアだったのね」
「じゃあさっさとこの洞窟を出るか」
「休憩しなくて大丈夫?」
「大丈夫、ほら、さっさと行こう」
俺達はその場所を後にした。
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