71話 孤独な暗闇
俺はその男が消えるのをただ静かに見ていた。
結局彼が何者なのかの情報は一切得られなかった。
魔王城がどうという話をしていたが、それはまた考えよう。
なんのためにここに来て俺に会ったのか。
全くもって意味がわからなかったが、彼の言っていた神海に行けば何かわかるだろうか。
今まで誰にも示されてなかった道を示され、俺は彼の言っていたことに流されていた。
「とりあえずはここから出ないと」
俺は神殿の外に出て、この閉鎖空間を見渡す。
俺が初めにいた場所以外に通れそうな場所はない。
俺は唯一可能性のある、初めにいた場所へと向かう。
そこだけ壁に窪みがあり、その中がやけに暗い。
俺はその暗闇に足を踏み入れ、それに体全体を包まれる。
すると背後にあった神殿からの光が突然消えた。
「え」
突然暗闇に包まれ、俺の心には不安が広がる。
いざ周りが暗闇に包まれてみれば、方向感覚も狂いだす。
どっちが神殿のあった方向だ?
再び閉じ込められてしまった。
俺はそこに座り込む。
この暗闇の中、動き回っても無駄だと思い他の案を画策する。
ふと、メイが魔術で火の玉を出していたことを思い出した。
「確か、『フレンマ』」
突如目の前から火が放たれる。
それは俺のいた場所と照らす。
しかし、
「熱っ!」
思ったより広くなく放たれた火は壁にぶつかり跳ね返ってくる。
そして大量の炎が空気を焦がし一気に気温が上昇する。
俺は直ぐに火を出すのをやめた。
そういえば閉じ込められている可能性が高い事を忘れていた。
ここで火を出すのはあまりにも無謀だった。
メイはよく火の玉を出せていたなと今更ながら感心する。
力加減をするのがこんなに難しいとは。
そして、火の光で一瞬見えたが、やはり俺は閉じ込められているようだった。
先程の火で気温が上がったここでいったいどうすればいいのか。
俺は暗闇の中で座ったまま俯く。
そんなとき、急に明るくなった。
俺が出した光じゃない。
「あれ、だれかここにいる」
そして、その声はこの世界で一番聞いた声だった。
「ハル?」
「あ、イツキ」
そこで火の玉の光を銀髪に反射させ、キラキラと輝かせているハルと目があった。
「メイ―、イツキが座ってるー」
ハルは俺の姿を見ると背後に向かって呼びかけた。
その声は壁で反響し、何重にもなって響いている。
そして、奥の方からメイが現れた。
「イツキ、大丈夫? いなくなったから心配してたのよ」
俺からしたら急に消えたのは2人だが、それは言わない事にしよう。
「立てる?」
ハルが俺に手を差し出す。
「ああ、ありがとう」
俺はその手を掴み立ち上がる。
「さっさとここからでましょ。ここ、魔物がうじゃうじゃいるの」
「そうなのか、わかった」
行きは全く何もいなかったように感じたが、今は確かに大量の何かの気配を感じる。
俺達は出口を探し始めた。
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