68話 洞窟の中へ
俺たちはその洞窟に近づく。
近づいてみるとその大きさが想像以上だったことがわかった。
明らかに異様なもの。
中を覗いてみても、暗く、外の光が届いていない。
まるで光を全て吸い尽くしたような姿だった。
「どうする?」
ハルが聞く。
「どうする、とは?」
「この中に入るか入らないかだけど」
ハルは好奇心から入りたいと思っているようだった。
「私も入りたいわ」
メイもハルの意見に賛同する。
「じゃあ行くか」
意見が全員一致したため、洞窟の入ることにする。
俺も中がどんな風になっているのか気になっているが、それ以上に。
あの暗闇の先から、俺は招かれているような気がした。
暗闇の中をメイが作った明かりを頼りに進んでいく。
若干下り坂になっているような気がする。
メイが大量に火の玉を出したため、今ではもう洞窟の岩肌の凹凸までもがはっきり見えるほどになっていた。
「気を付けて、魔獣が潜んでいるかもしれない」
メイが注意を促すが、俺はあまり気にしていなかった。
ここには何者も存在していないだろうということを何故か確信していた。
俺の思っていた通り、何かに襲われることも、それどころか生き物一匹もここにはいなかった。
そして、岩肌はある場所から急にまるで鑢で表面をきれいにしたかのような感じになっていた。
明らかに不自然だ。
そして、そんなところを歩いているうちに、
「ねえ、ここで行き止まりみたいよ」
大きな壁が立ちはだかっていた。
これはただ岩肌が綺麗になっているだけじゃない。
長方形の石が互い違いに積まれている。
「……怪しい場所」
ハルが小さく言う。
何かあってもおかしくないこの場所に何もない。
謎の空間だけが広がっていた。
「何もなかったし、引き返すか」
「そうね」
ハルは何もなかったことを残念がっている。
ここまで結構な距離を歩いたし仕方ないともいえる。
「一回この目の前の壁を爆破でもしてみようかしら」
メイはメイで物騒なことを言っている。
「やめとけ、この洞窟が崩れたりでもしたら……」
「『エクスパー』」
爆発音が洞窟内を駆け巡る。
俺は耳を塞ぎながら爆破の様子を見ていた。
爆発したときに出る炎は何か結界のようなものに弾かれていた。
多分さっきの衝撃も効いていないだろう。
「無駄だったみたいね。よし、戻りましょう」
「よしではないけどね」
「まあまあ、何も起きなかったから結果オーライよ」
「何も起きてないと思う?」
ハルが突然、静かに言う。
「どうした?」
「来た道が塞がれている」
「は?」
俺とメイはハルのいる方へと向かう。
そこには、先ほど行き止まりの時に見た石壁が存在していた。
「こっちから来たはずなのに……、なんで……」
メイは困惑している。
先程の様子を見るにここの壁を掘って外に出るなどは不可能だろう。
この洞窟に閉じ込められた。
ハルは壁を伝って歩いている。
この場所から出る方法を探しているようだ。
俺も辺りを見渡すが、空気穴の1つもない。
このままだと餓死か、それとも窒息死か。
いずれにしても助からない。
まずい。
「ハル、何か見つかったか?」
この空間の中を声が反響する。
しかし、ハルからの返事はない。
「ハル?」
辺りを見てもハルの姿がない。
消えた。
その時、メイが作り出していた火の玉も消える。
暗闇に包まれる。
「メイ? どうした?」
その返事もまた返ってこない。
聞こえるのは反響している自分の声だけ。
心臓が早鐘を打つ。
なぜ二人が消えた。
「ハル! メイ!」
俺は叫んでいた。
返事はない。
なんで。
なんで。
その時、光が差し込んでくる。
急な光に思わず目を瞑る。
落ち着いた頃、目を開くとそこには。
ドーム状の空間。その真ん中には巨大な建造物が存在していた。
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