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65話 約束が果たされるまで(2)

 書類の整理をしていた。


 そしてそれが終わったあと、荷物を片付け、帰る時に備えておく。


 やることがやはりない。


 こんなに暇になるのなら仕事の1つでも持ってくるべきだったか。少し後悔する。


 私は椅子の背もたれに体を預ける。


 睡魔が襲ってくる。


 最近はろくに眠っていなかったため、この睡魔には抗えず、私は静かに意識の底へと落ちていった。








 トントントン。


 ノックの音が聞こえる。


 私はそれで目を覚ます。


「どうぞ」


 私は部屋に入るように促す。


「失礼いたします」


 入ってきたのはメイド服を着た女の子であった。


「お食事の用意ができました。このお部屋で召し上がられますか?」


「ああ、そうしよう」


「畏まりました。もう少々お待ちください。お料理をお持ちします」


 そう言って、メイドの女の子は静かに扉を閉めた。


 暫くして、再びノックの音が聞こえる。


 入るように言うと料理を乗せたワゴンを押して、先ほどのメイドが入ってくる。


「こちらに料理を置いておきますね」


「ありがとう」


 目の前に静かに置かれていく料理。


 全て置いた後、メイドは失礼しますと一言残し、この部屋を後にした。


 静寂、なにか嫌な雰囲気がここに存在している。


 嵐の前の静けさとでもいうのだろうか、そんな感じだ。


 私はそんなことを考えながら、スプーンを手に取った。








 食事をし終えた後、食器類が下げられ、再び眠くなってくる。


 こんなに怠けていて大丈夫だろうか。


 まあでもせっかく頑張って時間を作ったのだ。少しぐらいだらけていても誰にも文句は言われまい。


 今は、このまま……。


 その時、部屋の扉が強く叩かれた。


 私は体をビクッと震わせながら声を出す。


「慌ただしいな。何の用だ」


「殿下、ご無礼をお許しください」


 扉から入ってきたのは息を切らしたワリントクルだった。


「そんなに焦ってどうした。土産物は買えたのか」


「いえ、そうではなく、もっと重要なことが、ありまして」


「なんだ?」


「オトイックの城が、何者かに、襲撃され、倒壊しました」


 私は言葉を失った。


 城を襲撃、いや、城自体はどうでもいい。もっと重要なのは、


「アリシネモとセルウェラは?」


「……」


「答えろ!」


 私は無意識のうちに怒鳴っていた。


「アリシネモ様は、その、城の倒壊時に下敷きになりまして、亡くなりました」


「――ッ!」


 声にならない音を発する。


 胸に鋭い痛みが。心を殴られたような衝撃が。


「セルウェラ様は、この城の倒壊の混乱の時に、何者かに連れ去られました」


 脳を強く揺すられるような。


 それを聞くだけで死にそうだった。


「……報告感謝する。今からどのくらいで準備できる?」


「15分で」


 ワリントクルは私の言いたいことを理解し、返答する。


「10分で用意しろ」


「承知しました」


 そう言い、ワリントクルは部屋を出る。


 部屋には、ショックにより息も絶え絶えな私だけが残された。

面白そう、続きが気になるという方、ぜひブックマーク、評価の程よろしくお願いします。

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