64話 約束が果たされるまで(1)
こんな会議に何の意味があるのか。
かれこれ一時間は何も話し合うことなく座ったままだ。
何もない時間が過ぎていく。
嗚呼、娘と妻に早く会いたい。
二日後帰るまでに土産物を買っておかなければ。
アリシネモは何を欲しがっていただろうか。
セルウェラには綺麗な花飾りはどうだろう。
なら、アリシネモにもお揃いの……、いや、少し色が違っている方がいいか。
セルウェラは受け取ってくれるだろうか。
仕事ばかりでほとんどかまってやれなかった。
この仕事が終われば少し時間を作ろう。
もっと早くにするべきだった。
そんなことを考えている時、突然入り口の扉がドンと開かれた。
「皆さんに報告がございます」
長い長い会議は終わった。
私はアカソの王宮に用意された部屋のベットに横になる。
結局夜まで続いた。というか最後には皆が会議室から出ていった。
私もそれに続いた。仕方ないだろう。
捕まえたという話を聞き、早急に作戦を練ろうと言っていたにもかかわらず、あの勇者が逃がしたのだ。
どうすることもできない。
明日になれば少しは気が晴れるだろう。
今はこの問題から目を背けたい。
そう、私が見たいのは『魔の勇者』ではなく家族の笑顔だ。
私は外出できないから従者にいくつか見繕ってもらおう。
私はその間何をしようか。ここを出る整理を軽くしておくか。
とりあえず、私が帰った時に元気そうな顔を見せてほしい。
その姿だけが私の力の源だ。
そんなことを茫然と考えているうちに、私は深く深く眠りの谷に落ちていった。
私は目を覚ます。
カーテンの隙間から入った光が視界に入り、少し眩しい。
いつのまにか寝てしまった。こんなにゆっくり寝られたのはいつぶりだろうか。
最初に従者に土産物の選定を頼んでおくか。
私は手鏡を取り出す。
「ワリントクル、聞こえるか?」
「はい、どうなされました?」
返事は直ぐに返ってくる。鏡にある男が映りこむ。
「娘と妻のために土産物を街で買ってきてほしい」
「畏まりました。要望等は何かございますか?」
「花飾りはどうだろうか」
「美しい方には美しいものを送るべきです。その点において花飾りは完ぺきと言えましょう」
「お世辞はいらんぞ」
「本心ですとも」
「ならいいが。私は花飾りと言ったが、もしお前が他にいいものを見つければそれでもいい。お前の見る目は信用しているつもりだ」
「ありがたきお言葉です」
「あと、あんまり高くないもので頼む。妻に怒られてしまう」
「承知しました。では、今日の夕方頃、お部屋にお持ちいたします」
「ああ、頼んだ」
さて私はどうしようか。
考えながら、私は机に向かった。
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