63話 柯会之盟
「もうじきここを通るわ」
メイが突然言う。
俺達の間に緊張した空気が流れる。
「じゃあ煙玉に火をつけるから、全員口と鼻を塞いで」
俺達は静かに頷く。
メイが俺達の方を見て確認し、煙玉に視線を向け、
「『フレンマ』」
唱えた。
小さな火が放たれ、煙玉に着火する。
そして大量の『煙』が立ち込め始める。
メイは口元を布で抑えながらそれを『道』に投げ込む。
メイが少し離れようと合図したので移動する。
風上に移動し、俺たちは口元に当てていたものを取る。
「これで『道』に『煙』を充満させて、そこに来てくれれば完璧」
「あとどれくらいで来る?」
「もうすぐよ」
その時『道』の方から何か大きな音がする。
それは俺たちの横を通り過ぎ、『煙』がある方へと向かっていった。
「そろそろ行きましょうか」
俺達は『道』に入って先ほど馬車が通っていった方向に向かった。
それは悲惨な光景だった。
一人は泣き叫び、一人は踊り狂い、もう一人は静かに突っ立っている。
明らかに異様。
俺達が近づいても誰も意に介さない。
「私たちはこの三人の様子を見ておくから、イツキは馬車に向かっていってセルウェラと父親を会わせてあげて」
「わかった」
俺とセルウェラはさらに馬車に向かって歩き出す。
ふと、突っ立っている人の顔を見る。
「ミナトか」
この世界に来た当初俺達を連れて行ったこいつがとまた会うとは思っていなかった。
俺はそいつの横を通り馬車のドアを開けた。
「――! 誰だ!」
「お父様?」
「その声は……、セルウェラ?」
「はい、そうです」
セルウェラが口元を手拭いで抑えながら馬車に乗り込み、父親に飛び込む。
「無事で、無事でよかった……」
「あの方たちが助けてくれました」
父親の視線が俺の方を向く。
「娘を助けていただきありがとうございます。何とお礼を申し上げて……」
そこで王が気付き、息をのむ。
「お前は、『魔の勇者』?」
「じゃ、お幸せに。セルウェラも元気でな」
俺はそう言い残し、馬車のドアを閉じる。
ハルとメイの元に向かう。
「セルウェラは父親の元に戻った。俺たちは行こうか」
そう伝え、俺たちは森の中へと走っていった。
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