61話 ちょこっとだけ刺激が強い
「『瞞着の煙』?」
「これは、その煙を吸ったあらゆる生き物に対して強い幻覚を与えるの。視界が狂ったり、幻聴が聞こえたり、効果は様々」
「それって相当危険な代物なんじゃ」
「そうよ」
「なんでそんなものを持ってるんだよ」
「まあとあるツテでね。攻撃するというよりかは護身用だけど。これをちょっとでも吸えば正常な意識は保てない」
「……古代魔導具でしょ。それ」
ハルが小さな声で言う。
「ええそうよ。効果が強すぎるから使い所あるかなと思ってたけど、ちょうど今みたいね」
「古代魔導具ってなんだ?」
前にも聞いたことがあるような気がする。誰が言ってたっけ。
「この中には古からの魔術が込められていると言われてる。今の技術では作れないものばかりらしいわ。今あるそれらも、遺跡から拾ってきたものだけらしいし」
遺跡から拾ってきたのか。なんかバチが当たりそうだが。
「まあこの煙を焚いて全員を錯乱させれば簡単よ」
「王に吸わせるのはダメだから、それに何か対策はあるのか?」
メイは特に思いついていないというように首を傾けた。
「まあ死にはしないから大丈夫。ちょこっとだけ刺激が強いだけ」
「ちょこっとだけか。正気の状態で会わせてやりたいんだけどな」
「あと、私たちも吸わないように布か何かで口を覆っておきなさい。ハルは大丈夫だろうけど」
「そうね」
「え、その作戦でいくのか?」
「まあ戦わなくていいならそれでいいし」
ハルがメイの意見に同調する。
「わかったよ、じゃあそれでいこう」
「ふぁああ。あれ、みんな集まってどうしたんですか?」
その時、二度寝から目を覚ましたセルウェラが、三人が集まって何かを話していたことを尋ねる。
「作戦会議をしてたんだ」
「何か案が決まったんですか」
俺は『瞞着の煙』を用いることを伝える。
「なるほど。お父様はそこらへん聡いので大丈夫だと思います。あの人古代魔導具大好きですし。確かたくさん集めていた気がします」
「なら安心ね。きっとすぐ気づいて吸わないようにしてくれるわよ」
「他の人も気付いて吸わなかったら?」
「その時はハル宜しく」
作戦会議にしてはボロボロだが、結局この案が一番いいということになったため、『煙』を用いることになった。
「もう動いた方がいいわね」
俺達は、メイに続いて炎の外に出た。
もうすぐ、ガバガバな作戦開始だ。
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