58話 寝る時間
俺とセルウェラは炎の前に来る。
「これは……、複合魔術ですか。すごいですね」
セルウェラは少し驚いている。
「結界魔術と火炎魔術ですか。確かに相性はいいですね」
「じゃあ中に入るぞ」
「はい!」
外は強い熱を感じるが、あるところまで入ると急に熱がなくなる。
そして、俺は炎の中へと入っていく。
続いて、セルウェラも入ってくる。
炎の中は眠るにはちょうどいい暗さになっていた。
「あ、遅かったわね」
俺達が入ってきたことに気付いたメイが話しかける。
「少し話し込んでた」
「そう」
「あと、セルウェラがお腹がすいたって言ってるんだが、なにか食べ物はないか?」
「持ってるよ」
ハルが懐から紙袋を取り出す。
「それは?」
「あの昼間に行った店で最後にもらったの。中身は羊羹。これを食べていいよ」
「いいんですか。ありがとうございます。いただきます」
セルウェラがぺこりと頭を下げ、その紙袋を受け取った。
紙袋を開け、中からそれを取り出す。
わずかに赤みを帯びている綺麗な茶色でとてもおいしそうである。
それをセルウェラは小さく齧る。
途端に頬を緩ませる。
とても美味そうに食べている。
「あともう一つ」
「どうしたの?」
「セルウェラが父親に会いたいと」
「それは、一度父親と話したいのか、それともそのまま父親の元に居るのか、どっち?」
「そのままお父様の側にいるつもりでしたが……」
「わかった。今はどこにいるの?」
「多分アカソから帰ってきている途中だと思います」
「反対側ね。どうするかしら」
「とりあえず明日は反対側に回って様子を見るしかない。多分『道』を通って帰ってくるでしょ」
「そうね」
「なら今日はもう休みましょ。明日は朝早く出発する」
「わかりました」
セルウェラが返事をする。
「じゃ、おやすみ」
そう決まった途端、ハルはローブを敷き、その上に寝転んだ。
そしてすぐ寝息が聞こえる。前もすぐに眠りに落ちていた気がする。
「じゃあ私たちも寝ましょうか。『エクスパー・バーリャ』」
メイの周りに薄い膜が現れる。
「まだ信用を得ていない感じですかね」
「信用が得られるように頑張ってね。じゃあおやすみ」
メイも寝転ぶ。
そして俺も横になる。
その横にセルウェラが来て寝転ぶ。
「……なあセルウェラ」
「なんですか?」
「近くないか?」
「全然、これくらい普通ですよ」
「ほぼゼロ距離なんだが」
「狭いんでしょうがないです。さあ寝ましょう」
「わかったよ。おやすみ」
「おやすみなさい」
そうして俺たちは横でくっつきながら静かに眠りに落ちていった。
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