57話 約束
俺は沈黙する。
「私も一国の王女であることは自覚してます。勝手に国を飛び出し放浪することは許されません」
「今お父さんがどこに行ってるのかわかる?」
「確かアカソで緊急の集まりがあると言っていたので、そこにいると思います。もしくは、もう帰路についている可能性も」
「アカソからオトイックまでどのくらいの時間がかかる?」
「馬車を使ってるのでおよそ二日ほどでしょうか。急ぎなので一日ぐらいで戻ってくる可能性もありますが、今の状況では何とも」
「ならその帰ってくる道中か国に着いてからかどっちが会いやすいだろうか」
「え」
セルウェラが素っ頓狂な声を出す。
「どうした?」
「会わせてくれるんですか?」
「会いたいんだろ? じゃあ会わせるしかないだろ。でも今日は無理だな。明日行動しよう」
「……わかりました」
セルウェラが静かに答える。
「絶対に会わせてやるから。約束な」
「やく、そく」
同じ言葉を反芻する。
「ありがと……っございます……っ」
目に涙を浮かべ、感謝の言葉を述べてくる。
俺は突然の反応に戸惑うが、彼女に近づき、頭を軽く撫でる。
そして、セルウェラは俺に頭を預け、堰を切ったように泣き出した。
「うわぁぁん。お父様も、……っお母様も私のこと、大切にしてくれてたけど、……っ他の人からは避けられて、……っ誰も側に居なくて、お母様は亡くなって、お父様は遠くに行ってて、……っ寂しくて、……っ辛くて」
セルウェラは思いの丈をぶちまける。俺は黙って聞く。
「……っ今までずっと一人で、人と仲良くなることなんてなくて、……っ初めて約束をして、私が頼んだことは全て命令だったから、……っそんな約束なんてしたことがなくて」
確かに立場上そうなってしまうものかもしれない。
セルウェラが顔を上げる。涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていた。
「だから、……っありがとうございます」
「まあ、泣きたいだけ泣いたらいい。そういう自分の思いをこらえる事しかできなかったんだろ?」
「はい……、でももう大丈夫です」
セルウェラは腕で顔を拭う。
少しすっきりした顔になっていた。
「それだけでいいのか?」
「ええ、王女がいつまでも泣くわけにはいきません。こんなつまらない話を聞いてくださりありがとうございます」
「また言いたくなったら言えばいい。落ち着いたらハルとメイのところに行こうか」
「わかりました」
その時、セルウェラのお腹がぎゅるるると音をたてる。
咄嗟にお腹をおさえるがその音は消えることはない。
恥ずかしそうにこちらを見るセルウェラ。
「お腹か、すきました」
「なんか食べ物あったかな」
俺は少し違和感を覚えながら、セルウェラとともにメイとハルのいる炎へと向かった。
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