40話 オトイックという国
「やけにあっさり国の中に入れたな」
俺は緊張で強張った肩の力を抜く。
門のところで厳しいチェックでもあるだろうと思っていたので拍子抜けだった。
壁に囲われてはいるがアカソと比べて壁も低く、門を見張る人は壁の上に二人ほど。
特に止められることなく入ることができた。
何か仕掛けでもあるのだろうか。
まあ何もなかったのなら良しとしよう。
そして、俺は町の風景を見る。
感想はただ一つ。
和。
オトイックは昔の日本さながらの町の風景を持っていた。
不思議と懐かしさを感じる。
城下町だろうか。見当たす限り背の低い木造建築ばかりだ。
アカソはレンガ造りが多かったように思う。あちらは教科書に載っているような中世っぽい。
街中を歩く人も和服のような着物や袴を着ている人が多数。
のんびりとした風景、まさに争いごとと縁のない平和なところだった。
そしてこの雰囲気の中、俺たちは異様に浮いていた。
「オトイックに入れたが、ここからどうする?」
俺は2人に尋ねる。
「まあちょっとぐらいゆっくりしてもいいんじゃないかしら。私はどこかの店に入りたいわ。甘そうなお菓子がいっぱい」
メイは目を輝かせていた。子供っぽい無邪気な態度だ。
少し可愛いと思ってしまった。
「でも、お金はあるのか?」
「あるわよ。もしかして持ってないの?」
「ああ、俺たちは……」
「私は持ってるよ」
ハルはそう言い赤い小さな巾着袋を取り出した。
「どれくらい入ってるかは知らないけどね」
「持ってないって言ってなかったっけ」
「いい女っていうのは秘密の1つや2つあるものなの。あ、あの店とかよさそう」
そう言うとハルはそそくさと目を付けた店の方へと行ってしまった。
ふと、ハルの後ろ姿に違和感を感じる。
何か違うような。
「……あなたはどうする?」
そう思ったがメイに話しかけられ、意識がそちらに向く。
そう、俺には金がない。
「我慢するしかないか」
「そう。まあもし食べたくなったら言って頂戴。貸してあげるわ。そうね。一回日が沈むごとに二倍でどう?」
「闇だな」
そんな話をしながら俺たちはハルの後を追いかけていった。
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