24話 蛇から逃げる人
しばらく走ったあと、俺は立ち止まる。ここはこの森のどの位置だろう。
周りの景色は緑一色、同じところをずっと回っているのではないかと考えてしまう。
「このあたりで少し休憩しない?」
「ああ、そうだな」
俺たちは近くにあった大きな石に腰を下ろす。
「で、さっきからソワソワしてどうしたんだ?」
「だって、ここって聖域よ」
「聖域? なんだそれ」
「はあ、やっぱり知らないのね。まあいいわ、早くここをぬけましょう。この先にある国は……」
「待て、何か聞こえる」
「え?」
何かドンドンとうるさい音が遠くの方から響いている。木を薙ぎ倒しているような、そんな音だ。
そしてその音はどんどん大きくなってくる。
――こっちに来ている!?
「おい、なにか来てる、逃げるぞ!」
「え、え」
俺は混乱しているハルの手を取り走り出そうとする。その時、声が聞こえた。
「なんでこっちに来るのよ、この化け物が!」
女性の声だ。
「止まってよ! お願い!」
こっちに走ってくるようだ。
そして茂みから何かが飛び出してきた。
「うわっ!」
そのまま正面衝突。
ぶつかってきた人は走ってきた勢いのまま転んでしまった。
「ちょ、大丈夫か?」
俺は倒れた女性に手を差し出す。
「何呑気なこと言ってるの、あなたも早く逃げたほうがいいわよ!」
差し出した手を払われて、自分で立ち上がった。
「ほら、あいつがく……」
俺の顔を見た途端、声が途切れた。ひどく驚いた様子だ。
次の瞬間、後ろからバキバキっと気がなぎ倒される音が響いた。
いつの間にかそれはすぐそばに来ていたようだ。
俺は咄嗟に振り返る。
そこにいたのは、巨大な蛇だった。
最後が見えないほど長く太い体がそこにあった。それはそこらに生えている木などものともせず進んできており、俺達へと迫っていた。
我に返った女性は再び走り始める。
「ほら、私達も!」
ハルに声をかけられ俺も走り出す。彼女が逃げた方向と同じ方へ。
足が地面を抉る。本気で走ると二人を置いていきかねない。
かといって二人を抱えて逃げれるわけでもない。危険すぎる。速さを合わせるしかないか。
後ろから凄まじい音を放ちながら巨大な蛇は俺たちを追いかけてくる。
「なんでこっちに来るのよ!」
先を走っていた女性は、俺たちの姿を横目に見るとそう叫んだ。
「仕方ないだろ! こっちしか通れそうなところがなかったんだから。それより、あの蛇は何だ?」
「何言ってるの?」
彼女は正気を疑うような顔で俺を見る。なぜそんなに俺は驚かれるのかわからない。
「あれは……、バジリスクよ」
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