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11話 外への案内

 そこにいたのは、豪華なドレスを身に纏った少女だった。赤を基調とした丈の長いドレス、紙は短髪の金色でそれに映えるような白い花の髪飾りを付けている。顔は幼く、けれども目鼻立ちが整っていて、いわゆる美少女だ。


「なんだお前は! みんな会議室に集まってたんじゃないのか? まさか私を連れ戻すために?……嫌だ嫌だ! あんな所に居ても面白くない!」


 何か早口でまくしたてられた。でもなるほど、何かの集まりがあってそこに人が集まっていたから全然人とは会わなかったのか。この子には勘違いされてるけど。


「いやいや、別に君を連れ帰りに来たわけじゃないから」


「え、じゃあ誰?」


 いやまあそう来ますよね。なんて言うべきか……


 あんまり変な事を言って誰か呼ばれたらめんどくさいことこの上ない。


「私はちょっとお手洗いに行こうとしてて、そのまま道に迷って……」


「そうなの? じゃあ会議室まで案内してあげるわ。近くまでだけど」


「い、いや、そのまま帰ろうとしてたから、玄関まで案内してくれると嬉しいなーって」


 流石にこのごまかしは無理か?


「そう? それなら私もあっちに行かなくて済むからいいんだけど」


「それなら案内を頼んでもいいか?」


「ええ、こっちよ」


 それだけ言うと彼女はそそくさとドアから出て行った。前を通る時一瞬俺を値踏みするような目で見てきた気がする。


 俺はその後ろを急いで追いかけた。








 部屋から出ると少し廊下に違和感がある。


「あれ、廊下がそんなに長くない」


「? どういうことかしら?」


 俺のつぶやきが彼女に聞かれてしまう。


「いや、さっき歩いてきたときは突き当りが見えなかったのに、今は見えるから不思議に思って」


「そんな突き当りが見えない程この廊下は長くないわよ。幻覚でも見てたん……」


 そこで彼女の声が途切れる。俺は顔を向ける。


「え、いや、まさか、()()を使ったの……。あれはそもそも……」


 何かぶつぶつ呟いている。何かまでは聞き取れない。


「だとしたらこの人は……」


 彼女が急にこっちを見る。彼女の眼には怯えがはっきりと浮かんでいた。


 しかし、次の瞬間、彼女の顔からスッと表情が消え、また元の顔に戻った。今の顔からはもう怯えは感じ取れない。


「不思議なことがあるのね」


 彼女はそう締めくくり、歩き出した。


 俺は慌てて横につく。








 少し歩いたとき、俺は口を開いた。


「そういえば聞くの忘れてたけど、君の名前は?」


「は?」


 彼女は目を見開く。その真意は悟れない。


「名前?」


「そう、名前」


 彼女はありえないといった目で俺を見てくる。だから何なんだその目は。


「私の名前は……マリンよ」


「本当の名前は?」


「え?」


 咄嗟に口からそんな言葉が出てきた。俺でもなぜこんなことを言ったのかはわからない。ただ直感で彼女が嘘をついたことがわかった。


「……」


 彼女は口を紡ぐ。俺は静かに待ち続ける。


 やがて、彼女は重々しく口を開く。


「……アーサリア、アーサリア=アカソよ」


「アーサリアね、何て呼べばいい?」


「――? ……ア、アースでいいわ」


「わかった」


 アカソ、どこかで聞いたことがあるんだけどなんだっけ。


「と、ところで、あなたは何で帰るの?まだみんな集まっていると思うけど」


 突然彼女はそんなことを言い出した。まあ絶対聞いてくると思ってたけど、これもなんて答えるべきか。


「ちょっと急用で抜けなくちゃならなくなってね」


「ほかに連れの人はいないの?」


「……あ、ハル」


「? どうかしたの?」


「なぁアース。ここに白くて長い髪の女性って来てないか?」


「……ああ、来てるって言ってたわよ。確か、二階の階段のすぐ近くの応接室にいるって」


 早くいこう、ハルのこと忘れてたなんてハル自身に気づかれないうちに。


「じゃあ行くぞ、すぐ行くぞ、ダッシュで行くぞ」


「その必要はないわよ」


「「え!?」」


 俺たちは後ろから聞こえた声の主を確かめるため振り返る。そこにいたのは、


「私のこと忘れてたわよね、イツキさん?」


 女優もびっくりするほどきれいな笑顔を浮かべていたハルだった。

面白そう、続きが気になるという方、ぜひブックマーク、評価の程よろしくお願いします。

今後の執筆の励みになります。

もうそろそろ一生が終わります

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