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こどもの国  作者: マタータ
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ヒーローってめっちゃ早いイメージある。

お尻に強い衝撃を受け意識が覚醒する。


少し痛むお尻を抑えながら立ち上がり周囲を見渡してみるとそこはまるで知らない景色だった。

童話の不思議の国のアリスのような状況に少し笑いながら、現状を理解できない混乱と未知の場所での恐怖を誤魔化す。


ただただそこで棒立ちのまま時間が経過していく。

すると遠くから幼い話し声が聞こえてきた。

遠くから歩いてきたのは幼稚園児ぐらいの男の子とその姉だと思われる女の子。

彼らは僕をみてとても驚いたような顔をしていた。


僕はこの場所のことを聞こうと思い彼女たちで話しかけようとした。

先程聞こえてきた話し声は日本語だ。きっとなんとかなるだろう。

そう思い足を踏み出そうとした瞬間。

足元の草が突然長く伸び、まるで短槍と盾を持った小さな騎士のような外見になり、僕に背を向けた。

そして草の騎士が盾を構えた瞬間。鉄と鉄がぶつかるような音が聞こえた。


草の騎士の足元には一本に光り輝く矢が落ちており、あわてて子供達の方を向くと女の子が先程まで持っていなかった弓を構え、男の子はマントを羽織りグローブを手につけて臨戦態勢だった。


草の騎士というわけのわからない存在。そして突然襲いかかってきた子供達に少し回り始めた頭が再び混乱をし始めた。

僕を守るように立っている草の騎士は多分味方なのだと思う。

わけのわからないまま、僕は草の騎士に守護をそして子供達を傷つけないことを心の中で祈った。


そして草の騎士の顔は見えないのでよくわからないが、子供達は草の騎士を睨むようにして武器を構え攻撃を始めた。

次の瞬間、草の騎士の手に持っていた槍が姿を変え盾となり、両手に持った盾で矢をそらし、拳を受け止めていた。

たくさんの甲高い音と一度だけなった低い音を鳴らし、戦いは激しくなったようだった。


男の子は加速し僕の目には追えないぐらいの速さで移動と攻撃を繰り返しており、女の子はその手に持った弓は飾りなのかといいたくなるほど空中に矢を浮かせてそれを射出するをくり返して攻撃していた。


草の騎士は防戦一方なのか段々とダメージを受けているように思える。

そして女の子の矢が草の騎士の膝に深々と刺さり騎士が膝をついた時、一陣の風が吹いた。


そして次の瞬間、矢は射出していなかったものまで全て地面に落ち、男の子は突然現れたもうひとりの男の子に捕まっていた。

突然の乱入者に二人の子供達は驚いたようだが、知人だったのか段々と落ち着いていた。


そして乱入者である男の子は言った。

「なんで、このひとたちにこうげきしている」

すると女の子は

「そのひとはB.Wなのよやっつけなきゃ!」

その後の二人の会話を聞いた限りだと、僕はなぜかこの子達にB.Wと呼ばれていて、そいつは倒さなきゃいけない決まりらしい。しかし男の子は僕が悪人だとは限らないから話を聞いてみるべきだということだ。


二人の会話はあまり長くは続かなかった。最終的にはまるで上下関係があるかのように乱入者の男の子の言い分に従っていた。


乱入者の男の子が話しかけてきた。

「おまえのなまえはなんていうんだ、どこからきた、おまえはわるいやつか?そしてこのくさのひとはなんだ」

いきなり多くの質問を並べてきて僕は少し焦ったが一つずつ答えていった。

「僕の名前は木下望、札幌から来た。僕は悪いやつじゃないし、この草の騎士はさっき突然地面から生えてきた。」

「さっぽろ?どこだそこ。まあいいや。わるいやつじゃないなら。おまえこれからどうするんだ?」

「僕はどうしたらいいかわからない。ここから家へと帰りたいんだけど帰り道がわからないんだ。ここはどこなんだい?」

「おまえまいごなのか?ばかだなぁ。ここはこどものくに、したのはらっぱ1だぞ、さっぽろってのがどこにあるかしらないがこれでかえれるか?」


こどもの国...?どこだそこは。夢の国ならわかるがこどもの国ってなんだ。親御さんに聞いてみないと帰れそうにないな。そう思った僕は聞いた。

「君、お母さんとお父さんはどこにいるの?」

すると乱入者の男の子は呆れた顔で

「きみじゃない、おれはヒーローのスピードマンだ。それにここはこどものくにだよ。おとうさんやおかあさんはおとなだからはいってこれないにきまってるじゃないか」

そう言ったあと突然スピードマンは驚いた顔をして言った

「っておまえもおとなじゃん!どうやってここにきたんだ!」

すると女の子は怒ったように言った。

「さっきB.Wっていったじゃない!そとからきたひとをそうよぶってまえにおうさまがいってたでしょ!ばか!」


スピードマンは最後の悪口を聞き逃さなかったようで口喧嘩を始めた。そしてそこから頬をつねり、蹴りも混ざってなどだんだんエスカレートしていき、先程から蚊帳の外で眠そうにしていた男の子が止めるまでその喧嘩は続いていた。


大きなたんこぶをこさえたスピードマンは僕に向かって

「まあいいや。おまえ!おれといっしょにおうさまのところにいくぞ!それでおうさまにきいてみればかえれるようになるよ!」

と言った。


王様?と疑問を浮かべた僕だったが行けばわかるかと思い、スピードマンに向かって

「おまえじゃない、のぞむおにいさんだ」

というだけにしておいた。

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