8話
クク、喜べ!今日は連続妄想コンボを叩き込んでやるぞ!
「あ、ノベル~。ここに居たのね!ちゃんと仕事してる?」
アイラか。隣の女がシスターか。
礼拝堂の掃除をしていると、アイラと見知らぬ女性が声を掛けて来た。
「わたしは、これから洗濯だよ。頑張ろうね」
「そうか、では励むが良い」
シスターとおぼしき乳の大きい女が笑顔で近付いて来る。
「君がノベル君ね!話しは聞いてるわよ!私はシスターのユリ。よろしくね!」
「そうか、楽にするが良い。よろしく頼む」
「ノベル~!?」
アイラが慌てて睨んで来るが、オレは目線を合わせない。普通に挨拶した筈なのに、やはり面倒な女だ。
「ぷっ!聞いた通り、面白い子ね!何か分からない事があれば言ってね」
アイラとシスターユリは、洗濯をしに外へ出た。
「ねぇノベル君、あのアイラって子、凄くかわいいね!僕、青い髪した女の子が大好きなんだ!今度紹介してくれない?」
よっぽどアイラの事が気に入ったのか、掃除を中断したジルーが近付き、小声で話し掛けて来る。
「ん?そうか、なるほど……ジルーは、人間の繁殖行為である交尾がしたいのだな?オレのペットには、まだなっておらぬから、勝手にするが良いぞ!」
「え!?ちょっと何言ってんの!?嬉しいけど!イヤイヤ、まだ早いし……てか、ペット?ノベル君ってば、ヤバイ趣味じゃね!?」
……やはり人間は、下等な生物だな。弱いからこそ数をすぐ増やそうとする。その癖、同族で殺し合いをするのだから救いようがないな。
昼からは教会関係者全員で、神に祈りを捧げる。創造神と誰か分からぬ神に祈りを捧げるなど、苦痛の極みだった。
「やあ!お二人さん、ちゃんと来てるね」
ニコルが教会に入って来る。肩には一角ウサギを数引き担ぎ、満面の笑みだ。
気でも変わって、上に報告しに行ったかとも思ったが、この男はやはり気ままなヤツらしい。
「今日はお肉たっぷりのシチューを作って貰おうと思ってね、森で狩りをしたんだ」
……ほう。
「ニコルよ、良くやった。上出来だ!」
「あはは、ノベル君はやっぱり面白いね!じゃあ皆で料理しようか。神父様、良いですか?」
「もちろんですじゃ。ニコル様、私の事など気になさらないでよろしいのですぞ」
「いえいえ、僕の性格です。気にしないで下さい」
シチューか……
調理には口出ししたいが……調味料すら持って無いが、このまま大人しく待つのもな……
「ニコルよ、ウイスキーは持っているか?」
「ウイスキー?あるにはあるけど……まさか飲みたいのかい?」
「バカを言うな……持っているなら最後にワンショット分シチューに加えてみるが良い。格段に旨くなる筈だ」
「へぇー!そうなの!?面白いね。やってみよう!」
そしてついにシチューが出来上がった。
隠し味であるウイスキーのおかげで、燻したような香ばしさが出でいる。狙い通りだ。
「う、旨い!」
「香ばしくて美味しいわ!ノベル君凄いわね!」
「ノベルの癖にやるわね!」
フム、本当はもっと色んなやり方があるのだが、今回はこれで良しとするか……
「では、オレも頂こう。……ぐお!なんだこれは!素晴らしい!やはり腹が減っていると、味が格段に違う!たまらん!」
「へ!?本人が一番旨いって言ってる!?あはは!」
そして教会での一日が終った。