7話
おっと、そう言えば……この際だから聞いてみるか。
「さっそくだが……」
「ん?なんだい」
「ここは何て名前の大陸だ?」
「へぇー君、大陸って言葉知ってるんだね。名前はブラジリア大陸だよ」
「……国の名前は?」
「アルティーナ王国」
「ほう……」
……なるほどな。我が居城からは少し遠いな。
「君達は村から出たのは初めてだったね。色々教えてあげたいけど今日はもう、村に帰って明日またおいで。親には、才能は無かったとでも言っておくんだよ。じゃあね~!」
最後まで軽いヤツだな、大丈夫か?
「……ノベル、聖教騎士だって」
「ああ」
「わたし大丈夫かな?」
「お前の事など知らん……ん?」
バキィ!
ぐわっ!
痛った! ……ハッ!
「ノベル~!!」
「あう!ご、ごめんなさい~!」
クソ、あの娘!……密告してやろうか!?
村に帰るのが遅かったせいか、デニーとニースが痛く心配してくれた。才能が無かったと話すと、励ましてくれた。だか次に聖教会に入る事になった話しをすると驚きながらも、複雑そうに喜んでくれた。
つまり、一般的には食いぶちのある仕事と言えるが、人に好かれる仕事とは言えないのだろう。
その日の夕食はデニーが頑張って仕留めた鶏肉の料理だった。
やはり腹が減ると、特に料理が旨く感じるな。
ーーーー
聖教騎士見習いは、街の教会に住み込みだ。デニーとニースにしばしの分かれを告げ、村から街の生活へと変わる。
教会の隣には、古い宿舎が有り、神父に順番に案内される。アイラは女なので、他のシスターの部屋に。オレは男の先輩教徒、ジルーと相部屋だ。
しかし、この男デブだな……醜い奴だ。
だがまあ、挨拶くらいしておくか。
「ノベルだ。よろしく頼む」
「はい分かりました……って、僕の方が先輩なんだけど……!?」
「そうだな、言われなくても神父に聞いているぞ?」
全く空気を読まないノベルの様子に、ジルーは飽きれ、ため息を漏らした。
「ハァ……でも君は騎士見習いだし、まあいいか。え~と、先ずは教会の掃除からだよ。後を付いてきて」
フム、清掃だな。
まあ、仕方のない事だろうが、あの創造神の住処を掃除させられているようで、地味に腹が立つな。
「ジルーよ」
「ん、なんだい?」
「ニコルは来ないのか?」
「ああ、騎士様? 何やら朝から用事があるとかで、出かけてるみたいだよ」
なに?まさか裏切った訳では無いだろうな……?
「……そうか。話を変えるがジルー、この石像の神を知っているのか?」
「確か創造神様だったと思うよ」
「だったと思う?これは、お前達聖教会の崇めている神ではないのか?」
「え、知らないの?まあ間違いではないけど一番は、違うね。奥の部屋にもう一体石像があるんだ。」
……ピク
「名前は?」
「こっち来て。……ほら、あれが聖教会の神様の太陽神ゾフィー様だよ!」
何?……バカな!どういう事だ?
オレは邪悪な破壊神として好きに過ごしていた。そして世界共通の敵でもあったハズだ。 決して太陽神などではない。ならば名前が偶然同じ?
だがそもそも太陽神など知らぬな。
ふうむ……。
「……ジルー、今は何年だ?」
「えっと……今年で太陽歴2000年だね」
……太陽歴?
なんだそれは?
そんな歴は聞いた事が無い。……つまりここは、オレの居た世界ではないのか?
ん~、分からん……。