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2話

 とある平和な村に、大人しい一人の少年がいた。名前はノベル。

 ことしで十歳になる彼は、村外れにある森で幼なじみと薪を切っていた。そんな彼の背中を、空から降ってきた怪しく光る白いモノが音も無く入り込んだ。

 そして少年は倒れ込み、苦しそうに喋り出す。


「く、うう…… おのれ、あの勇者め、オレ様に一体何を、……なに!?」


 こ、此処はどこだ? 勇者達は?


 邪神である自分に、魔法を放った勇者達の姿は、もう見えない。代わりに視界に入るのは、たくさんの木々と透き通った青い空だ。

 横たわった状態だが、どこかに痛みを感じる事も無く、体にダメージは無いようだ。


「どうしたの?大丈夫?」


 なんだ? 人間の……幼女?


 体を起こし、声のする方へ振り向けば、幼い少女が心配そうに此方を見ている。


「ん~……分かった!また魔王ごっこの始まりでしょ!?」


 その瞬間、ゾフィーは言い知れない苛立ちを感じた。たかが人間の少女が発した言葉とは言え、邪神の自分と魔王を間違った挙げ句、ゴッコなどとは何たる無礼か。


「……なんだと? 貴様、人間の分際で我に口を聞くな!」


 目の前の少女に苛立ちをぶつけるも、今だ状況は理解出来ない。


 くそ……確かにあの時、勇者達と戦い、最後にオレの知らない魔法を食らって……強制転移魔法の類いか!?


 ポカ!


「あいた!?」


「こら~!いいかげんにして!ちゃんと仕事してよね!」


「あう!ごめんねアイラ」


 なに? 何故私があやまった!?どういう事だ? アイラだと? 私が何故この少女の名前を知っている? それに何だこの私のしゃべり方は!?


「う……違う、そうじゃない! 勇者のヤツめ、確か禁呪とか言っておったな。 オレの知らない魔法がまだあったというのか!? 」


 ポカ!


「いて!?」


「コラ~! まだなんか妄想してた!? もういいかげんにしてよね! 早く薪を持って帰らないと父さんに怒られちゃうじゃない」


 ぐ、痛い。この私にダメージが入っただと!? それに何故障壁が発動せぬ!?

 まずい、こやつ少女の姿をしているが、何者……まさか神の類いか!?

 とにかく反撃だ。

 この得体の知れん娘、邪神であるオレを本気にさせた事を後悔させた上で、すぐに冥土へ送ってやる。

 クク、死ぬが良い!


強制即死!(デス)


「……」


「……で、なに?」


 アイラが少年を睨み付ける。


「……え? な……何でもないよ……ごめんね。エヘヘ」


 ……なんと言う事だ!?

 魔法が発動せん。

 それにオレの体、サイズもおかしい……なによりこのアイラと言う娘に対して、この私がなんとも言えん感情……そうか、認めたく無いが……恐怖を感じている。

 こんなバカな。


 オレは、何事も無かったかの様に、とりあえず目の前にある薪を大人しく切るり始める。本当は薪なと切った事はないのだが、体が覚えているのか、勝手に動いていた。


 黙々と薪を切りながら冷静になり、自分の手を見れば、まだ子供のように見えた。なるほど、これは私の体では無い。そして不思議な事に、この体の記憶が頭へ流れ込んで来て、理解し始めた。

 まずこの体の主は、この近くにある村で生まれ育った。

 両親はすでに病気で死んでいる。

 そして目の前にいる少女は幼なじみのアイラ。

 このアイラの親に引き取られ、今まで一緒に暮らしてきたようだ。


「ノベル、そろそろ帰りましょ。暗くなるといけないわ」


「むっ!? オレに命令を……」


 キッ!!


 ……う!?


「……うん、分かったよ!そうしよう!」


 睨まれた……あぶない。また殴られるところだった。言葉遣いには気を付けねばな。

 あの少女の連続攻撃でも食らえば、ただではすまん。この貧弱な体で魔法も使う事が出来ないのであれば、何かあれば死んでもおかしくないだろう。


 しかし力を取り戻した暁には、この無礼極まる娘を死ぬまでペットにして可愛がってやるわ!


 ……クク!


 見ておれ!!




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