プロローグ
新作です。
今日は数話、ストックあるので数日間、連投します。
よろしくです。
その者は邪悪で強大な力を持っていた。
三人の忠実なる魔王の下僕を従え、魔に属する大軍を率い、五つの大国を相手に千年に渡る戦争を続けた。
人々は、傷付き恐れ、彼の事をこう呼んだ。
闇の軍団を率いる暗黒の破壊神、ゾフィーと。
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「クックックッ……。 またも来たか、勇者達よ」
「暗黒神ゾフィー…… お前を殺す!」
闇の宮殿にある玉座の前に、勇者達と呼ばれた五名のパーティーが、戦闘体勢をとっている。もちろん玉座で勇者達を見下ろしているのは、宮殿の主である暗黒神ゾフィーだ。
「フフ。 貴様らでこの千年、勇者なるパーティーは、もう何組目か。 このオレが多少飽きる気持ちになるのも分かってもらいたいものだ。あ~やだやだ。 」
「ふざけるな! ここで……すべて終わらす! 」
過去、暗黒神ゾフィーに挑み散っていった勇者達がいた。
破壊神討伐の為に、各国から選抜された勇者がたびたび破壊神のもとに送られていたが、その全てが失敗に終わっている。
「クク……とは言え、最近はオレ様も楽しみになっている。今回もわざわざ此処まで通してやったのだ。さあ全力を尽くせ、勇者達よ! 」
絶対的な力を持つゾフィーにとって、他の国々との戦争はもとより、勇者達との戦いは、もはや遊びの暇潰しで鼻くそをホジるに等しい行為である。
それ故に本気を出せば、すぐに殺してしまう。だからこそ手を抜き、できるだけ長く戦いを楽しんだ。
そして今回挑んで来た勇者達との戦いは、すでに数時間に及んでいた。
「ぐおお…… これ程とは……」
勇者パーティーのリーダーである青年は、血と供に絶望した弱音を吐く。これ程長時間、戦闘が長引いているのは、実力が拮抗しているわけでは無く、完全に遊ばれていると分かっているからだ。
「まずい……もう魔力が尽きた」
「回復系のアイテムも、もう無いわ」
「くそ! なんとか、撤退くらい出来ないのか?」
仲間達も万策尽き、数回目の撤退挑戦も失敗に終わった。だがリーダーの青年は、こういう事態を予想していなかった訳じゃない。だが最終の手を使うには、代償が大きかった。
「すまない。みんな……禁呪を使う」
「それでいい。 俺達は、ヤツを倒す為にここにいるんだ」
「わたしも構わないわ」
「やっちゃって!そして世界を救って!」
青年は、頷き最後の呪文詠唱に入る。対するゾフィーは玉座に座ったままで、鼻をほじりながら勇者達をぼ~っと見つめていた。そろそろ終わりにしようかと思っていたが、勇者の意外なセリフに期待が湧き始め、何をするか楽しみといった表情である。
「ゾフィー……俺達全員の命が対価の禁呪だ。食らえ!」
「ふーん…… で?」
『魂強制分離消滅破』
ズゴゴゴゴ!!
「ん……あれ?」
あ、あら~!?
邪神のオレ様を崇拝し、ブクマする事を許そう!