家にいて
家にいて思った。
家は不思議な箱だ。
そこで起こった
多くの出来事は、
社会とは関係ない。
幸せであろうと、
不幸であろうと、
その閉ざされた空気が
外に出て行く
ことはあまりない。
家の中の一人に、
元気がなかったり、
不機嫌だったり、
泣いていたりすると
その家は暗く重い。
自分に関係なくても、
気になるもので、
気になり出すと、
自分のことでなくても、
気が滅入ってゆく。
同じ屋根の下に住むなら、
人は日々の変化に、
同じストレスを、
少なからず抱えて
しまうものだろう。
ある家族は、
そんな一員を守ろうとする。
ある家族は、
ストレスが嫌で拒絶する。
ある家族は、
鬱陶しい、出て行けと
命令する。
自分で心をコントロール
できないなら、
一人で一つの箱に入る。
それが最も迷惑を
かけない生き方だから。
それを淋しいというなら、
人々は一つの箱に、
二人以上で入る意味を
よくよく、
考えるべきだろう。
時々窓辺に立つのは、
また考えてみなさいと、
不思議な箱、家が、
囁いているからか。
雨がまた降り出した。