8話 鞭
しかしこのブーツ凄いな。
まだ使って間もないのに、かなり自由自在に動きまわれる。
まるで俺の感覚とリンクしてるみたいだ。
まてよ、ブーツに仕掛けがあるってことは……。
このグリップもなにか仕掛けがあるのか?
確か、ブーツの時は飛べたらって思ったら起動してたよな。
何かをしたいと思うことがスイッチなのか?
飛べ、動け、止まれ……違うな。
伸びろ!
動いた!?
……何だこれ?
グリップから、なんかうねうねしたのが伸びてきたぞ。
これは鞭?
おお。
思い通りに伸び縮みするな。
動きもある程度は思い通りに動かせるみたいだ。
ブーツも鞭も凄いがこれは機械なのか?
まあいいや、今は細かい事は後回しだ。
これなら化け物が八匹でも少しはやりあえそうだ。
最悪、時間稼ぎくらいはできるだろ。
この距離、そろそろあの化け物の射程距離だよな。
っとと。
やっぱり、八匹とも砲撃してくるか。
ん?
あそこに転がってるのは……。
コンビニから持ち出した荷物!
無事だったか。
どうする?
八匹ともこっちに急に急接近してきてるしな。
下に降りて拾うのは無理そうだ。
この鞭でいけるか?
まあ、駄目なら諦めるだけだ。
チャンスは一瞬。
先に鞭を伸ばして、通りすぎ様に引っかける!
よし!
後は鞭を短くしてっと。
回収成功。
水風船は割れてるが他は問題ないな。
それじゃあ行きますか!
うーん。
数は多いが、あまり連帯がとれてる感じはしないな。
これなら予想以上に時間が稼げるか?
っと。
空中戦の基本は体当たりか。
あの大きさと速度。
一発でもくらったら、体がバラバラにされそうだ。
ただ、連帯せずに個別に動いてくれてるからな。
「よっと」
空中での小回りはこっちの方が上みたいだし。
向かって来るのをかわしていれば、当面はなんとかなりそうだ。
それでもあまり余裕もないか。
あの砲撃が補てんされると不味い。
八発同時だと流石に避けきれる気がしない。
となると、また視界を潰すしかないか?
鞭の先端に布をくくりつけて。
布に色々と染み込ませて。
危なっ!
痛つつ、腕が。
結構ざっくりいかれてるな。
かすっただけでこれか。
流石に作業しながら、簡単に避けられるほど甘くはないか。
だが腕一本、流血しただけの甲斐はある!
はず?
なんだ?
雄叫び?
血を見て興奮してるのか?
冷静さを失ってくれるなら好都合だ。
さあ、こいこい。
鞭のしなりを利用してっ。
避け様に刺激物のプレゼントだ。
おおう、まさか落っこちていくとは。
思ったより効果ありだな。
タバスコ、ワサビ、胡椒に唐辛子をたっぷり練り込んだからな。
お陰で両手が大変なことになってるけどな。
さあ、仕切り直しといこうか空とぶ化け物!