6話 人型ロボット
さてどうする。
一匹減ったが、こっちも荷物もない。
使えるのは、落ちてる砂と石ころと……ペットボトル!
よし、二匹ともうまい具合に距離をつめてきた。
そろそろいいか。
「こっちだ! デカ物野郎!」
ビー玉ほどじゃないが、ペットボトルに石ころでもなんとか音は出てる。
「こっちだよ! 前の見えないデカ物!」
よし!
来た!
「がぁっ」
爆風が予想以上だ!
一発目より威力が大きくないか?
だが!
よし、目の前の二匹が落ちた。
あとは逃げるだけっ、くっ。
くそ、体が
さらにコンクリートに二回転で叩きつけられたからな。
不味いな。
また何匹かこっちにむかってくるか。
しかも遠距離砲撃か……。
体が動かない、どう避ける?
!?
上から攻撃!?
仲間割れか?
違う、なんだあれ?
ロボット?
「おい! そこのチキュウジン!」
喋った。
地球人?
俺のことか。
「そこで倒れている貴様だ! すぐにそこから離れろ」
離れろって言われてもな。
体が……。
「ち、動けないのか。今そこに行く、待っていろ」
これは……
完全にロボットだな。
こんな兵器があるなんて聞いたことないが。
「チキュウジン、話はできるか?」
「は、はい。なんとか」
しかし地球人か。
ってことはこのロボットは宇宙人なのか?
「アリアさーん」
もう一機?
「ディーネ、いいところに。こっちだ!」
「チキュウジンを見つけたんですかぁ?」
「ああ。ただ負傷しているようで、動けないようだ」
「それなら私の出番ですね〜」
「たのむ。おい!チキュウジン、今から貴様の治療をするが、おかしな真似はするなよ!」
おかしな真似って。
そもそも体が動かないしな。
「わかりました」
もう一機のロボットか。
どっちも同じような機体なんだな。
色がダークグリーンなのは迷彩みたいなものなのか?
この街の中だと、結構目立ってる気がするけど。
胸部が開いた?
やっぱり中になにかが乗っているのか?
「よいしょっと」
女性?
まあ、声は女性っぽかったしな。
「それでは治療しますので、ちょっとだけ我慢してくださいね〜」
手?
手をかざして治療?
!?
手のひらを中心に空間に文字。
砲塔と一緒のやつか?
「? 手を放してもらえませんかぁ?」
「おい! チキュウジン何をする!」
「申し訳ありません。ですがよく分からない化け物達に同じような方法で襲われていまして」
「あー、なるほど〜。安心してください、これは攻撃するための魔法ではありませんので〜」
「魔法?」
「ええ、魔法です〜。チキュウジンの皆様には馴染みがないかもしれませんが、この世界で生きていくことになった以上、追々慣れていきますから大丈夫ですよ〜」
何が大丈夫かさっぱりわからないんですが。
「おい、ディーネ急げ! 他の連中も頑張っているが、長時間は持たなさそうだ」
「はーい。ということなので、さっさっと済ませてしまいますね〜」
文字が光る。
くっ。
「はい、終わりました〜。目を開けて大丈夫ですよ〜」
「な、なにが?」
「治療魔法を使っただけでよ〜。どうです、体動きませんか〜?」
!?
動く、しかも痛みもなくなった!
なんなんだこれ?
「大丈夫そうですね〜」
と、兎に角。
「ありがとうございます。先程は失礼なことをしてしまい、大変申し訳ありませんでした」
「いえいえ〜、おきになさらずに〜」
「おい、ディーネ。急げ、来るぞ!」
「はーい。それでは貴方は安全な場所に避難してくださいね〜」
?
安全な場所?
「あの、それは」
行ってしまった。
安全な場所ってどこだよ……。