28話 想定外
「まあ、それはそれとして。ヒサナギ殿、先程の工場の核についてであるが」
光神教の話終わり?
「何を不思議そうな顔をしているのだ?」
「いえ、光神教についてなにか不満があったのではないかと」
「我輩、特になんとも思っていないのである。まあ、途中から面白くもないものを量産させられたのは、面白くなかったのではあるが」
……。
「新しい技術を惜しげもなく教えてもらい、さらには研究もさせてもらえたのである」
えーと。
「実験も暴走も勝手にやってくれた上、対抗策としての魔動機兵の開発もできたのである。感謝こそすれ不満は特になかったのである」
技術をただで教えて、自分達の重要施設を全て失って、対抗策まで作らなきゃいけなくなって……。
光神教、踏んだり蹴ったりだな。
だから報復行為としてキジンシュを貶めたのか?
「たまたま過去の話が出たので、あった事実を述べただけなのである」
しかも当事者にはあまり気にされてないっぼいしな。
なんか色々、大丈夫か光神教?
「はあぁ。確かにヤイチの言うとおり過去を証明する証拠などないし、今のこいつが私達になにか出来るとも思えんしな」
「であるな。突き詰める意味のない過去にこだわるなど、阿呆のすることであるな」
当事者がこう言ってるし。
ラージェスさんも毒気を抜かれたみたいだし。
なんかぐたぐだな感じだけどこれでいいのか?
「それよりもである」
「さっきの核と言うものの話ですか?」
「うむ、あれを我輩に渡してほしいのである」
「何の為にだ?」
「ラージェス殿、先程からの我輩の話を聞いていなかったのであるか?」
「な、貴様!」
「ラージェスさん。一々、怒っていたら疲れますよ。この手のタイプの人の言葉は悪意も悪気もないですから」
「しかしなヤイチ」
「ヒサナギ殿はなかなか、わかっているようであるな」
誉められても、あんまり嬉しくないですけどね。
「我輩の研究開発の為に、あの核が必要なのである」
「何の研究開発なのですか」
「魔動機兵の武装であるな」
「工場を作った奴が作ろうとするものに等、協力できるか!」
「ふーむ。では完成したものはヒサナギ殿に差し上げよう」
は?
ラージェスさんじゃなくて?
「貴様何を言っている」
「ふむ、まだ足りないであるか。ならば我輩の魔動機兵もヒサナギ殿に差し上げるとしよう」
え?
「だから何を言っている!」
「これでも足りないのであるか。ならばヒサナギ殿に我輩の力を貸すのである」
「貴様ふざけているのか!?」
「我輩、魔動機兵の研究、開発、設計の責任者であったゆえ、それなりに役に立つと思うのであるが」
「な!?」
魔動機兵の産みの親!?
これ、どーすりゃいいんだろね?
 




