24話 お名前は?
動かない。
気絶してるのか?
「ラージェスさん」
「不用意に近づくなよ、何をしてくるかわからん」
……。
何かをねらってるのか?
……。
ぴくりとも動かないな。
「ラージェスさん」
「ああ、どうやら気絶しているようだ。私が様子を見てみよう」
「お願いします」
!?
起き上がった!
「ラージェスさん!」
「ああ! 警戒を怠るな」
何だ?
額を押さえて……地面を転がり始めた?
『いだああァァァァア』
……。
『額が額があぁぁぁぁ。我輩の明晰な頭脳の入れ物がああぁぁ』
なんだろう。
言ってることがわからないはずなのに。
凄く面倒なことになりそうな……。
「ラージェスさん、お願いします」
「ヤイチ? いや、お前、流石にいきなり止めとかは無理だぞ」
駄目ですか?
「そんな顔をしても駄目だ」
はあ。
「兎に角、生きてはいるようだし言葉も通じるようだからな、まずは捕らえて話を聞いてみる」
「やめた方がいいと思いますよ」
「なにか言ったか?」
「いえ」
『貴様達は一体何を考えているのであるか!? この貴重な頭脳をもつ我輩の頭に怪我をさせるなど』
『いえ、ですが私共としても襲われたので、迎撃したまでですし』
『ふん、阿呆の癖に口答えなぞ!』
『っ』
うーん、なに言ってるかわかんないが。
やっぱり面倒くさそうな人な気がする。
「ラージェスさん、何と言っているんですか?」
「うむ、なんというか」
『む、その言葉。貴様チキュウジンであるか?』
チキュウジンって言ったな。
こっち向いてるし、俺になにか言ってるのか?
「ヤイチ、チキュウジンかと聞いている」
「我輩に通訳など必要ないのである」
日本語が話せるのか。
「おい、チキュウジン」
「なんでしょうか?」
「貴様、名前は?」
うん、この人は多分あれだ。
「人に名前を訪ねる時は、まずご自分から名乗るものでは?」
「ふん、貴様達相手に礼儀等、必ようがががが」
うん、この鞭便利だな。
「わ、我輩の頭ががぐががが」
「まずはそちらから名乗るべきでは?」
「あがががが、わ、わかった。わかったから頭に巻き付いているこれを外してほしいのである」
「は?」
「は、外してください」
厳しくいかないと付け上がっちゃう感じの人だ。
「わかりました」
「ふう、ひどい目にあったのである」
「それで貴方のお名前は?」
「ふん、人に訪ねるのならば先に名乗るのではなかったのでは?」
ふう。
「あがががががが、あ、頭が。我輩の頭があぁぁぁぁ」
「なにか仰りましたか?」
「な、何でもあぁぁぁ、ありません」
「それでお名前は?」
「し、シュトラウ・ドリターラウ」




