21話 遭遇
さて出発したのはいいんだが…
「あの、ラージェスさん」
「わかっている、私の予想が甘かった」
動いて五分でいきなり囲まれた。
「あれだけ潰しても、まだこれだけの魔晶獣がいるとは」
「ここにきた工場というのは、それほど大きな戦力を持ったものだったということでしょうか?」
「工場と一戦交えたが、私たちの戦力で倒しきるところまでは難しかったが、そこまで強力というわけでもなかった。あの程度の戦力ならば、抱えている魔晶獣もそこまで多くはないはずなのだが」
「ということは何か普通でないことが起こっていると?」
「そうかもしれん。だが何にしてもここを切り抜けんことには」
たしかに、その通りだ。
「ヤイチ。病み上がりで魔動機兵ももたぬお前に申し訳ないが、緊急事態だ。それなりに戦力としてあてにさせてもらうぞ」
「わかりました。では私がかく乱しますので、撃破のほうはお任せします」
「お前…。こちから頼んでおいてこんなことを聞くのも難だが、怖くはないのか?」
「そんなこと言ってられない状況だからですよ。きます!」
体当たり主体か。
囲まれてるおかげで同士討ちの可能性もあるし、砲撃はできないってことかな?
でも前は味方に砲撃当ててたしな。
明確な同士討ちは避けるくらいの感じなのかね?
鞭を首に絡めて伸ばしてっと。
ターザンポープの要領で!
そのままもう一匹の首に絡めれば。
うまくいった。
だけど鞭をロープ代わりにジェットコースターなみの一回転。
さすがにちょっと怖かった。
あれはやっぱり安全装置があっての娯楽だな。
ま、何はともあれうまい感じ絡まってくれたし。
「ヤイチ、よくやった」
おお、大きな剣で胴体にザックリか。
そこからもう一匹に飛び移ってさらに深々と差し込むか。
ああいう大きな武器ってぶん殴るためのものかと思ったけど、結構サクサク切れたり刺したりできるんだね。
まあロボットあっての動きなのかもしれないけどさ。
「よし、まずは2匹。ヤイチ、次が来るぞ!」
っと、余計なことはとりあえず後だ。
まずはここを何とかしないと。
「どうやら、襲ってきた魔晶獣は片づけたようだな」
「そのようですね」
ラージェスさん、かなり強いんじゃないのか?
6匹いたのがあっという間だった。
「よし、今のうちに撤退だ!」
!?
この大きな声は!
「どうやら今すぐは難しいようだな」
「工場…何でここに?」
こっちに一直線に向かってくる!?
「わからん、わからんが奴はこっちとやりあうつもりらしい」
鞭も靴も体も問題なし。
若干精神が高揚してきてるくらいか。
能力のおかげってやつなのかね?
「ヤイチ、来るぞ!」




